食欲不振を改善する効果も
バリンを摂取することで、食欲不振を改善する効果が確認されています。
高齢で栄養不良の透析患者に、バリンを含むBCAAを摂取させたところ、食欲やカロリー摂取量が速やかに上昇しました。
同様に、がん患者に対しても食欲増進効果があるとの報告もあります。
病気でない人、あるいは若年層における効果は十分に研究がなされていません。
ただし、バリンはもともとエネルギーを生み出すアミノ酸でもありますから、食欲がすぐれないときには意識して摂取してみてもよいかもしれません。
窒素バランスの重要性
バリンは「窒素バランス」を調整する役割があると言われますが、その前に窒素バランスについてお話しておきましょう。
窒素バランスとは
窒素バランスと言われても、普段の生活ではあまり意識することはないかもしれません。
窒素バランスとは、食品やサプリメントで摂取する窒素の量と、排出する窒素の差のこと。
そもそも窒素と言われても、どんな働きをしているかよく分かりませんよね。
窒素は空気中の80%を占めるため、呼吸をすることで体内に取り込みます。
ただしそれだけではなく、アミノ酸自体に窒素が含まれているのです。
これは、アミノ酸の化学式に窒素を示す「N」が含まれていることからも明らかですね。
そして、体内において窒素は水素と化合してアンモニア(NH3)を発生させます。
アンモニアは有害ですので、これを無毒化して排出するのが尿です。
バリンと窒素バランス
窒素バランスが狂うと?
人間の体は、食事からのエネルギーが不足すると、筋肉を分解してエネルギーを得ようとします。
その際にアミノ酸を消費することになりますので、窒素が放出されます。
摂取する量と排出量のバランスが取れている限り、これはなんの問題もありません。
ただし、窒素の排出量が上回る場合、これは栄養不足を示す状態となります。
窒素バランスの狂いはさまざまな病気を招くと言われていますが、これは筋トレに取り組む人にとっても他人事ではありません。
なぜなら、筋トレでは大量のエネルギーを消化されるからです。
栄養を十分に取らないまま筋トレをすると、筋肉はどんどん分解されていくのです。
筋肉をつけるために運動しているにも関わらず、です。
バリンが窒素バランスを調整
バリンは、その窒素バランスを調整する作用があります。
筋トレにおいてBCAAの摂取がよいとされるのは、このあたりも関係しているのでしょう。
バリンの摂取方法
先ほどからたびたびお話していますが、バリンはBCAAの一種。
ですから、BCAAのサプリメントを摂取することでバリンを満たすのが一般的です。
健康な人において副作用は確認されていませんが、摂取によって不調に陥ったと疑われる場合は、直ちに中断し医師の診察を受けるようにしましょう。
バリンはBCAAとして筋トレする人には一般的なアミノ酸です。
筋肉を作るために重要な役割を果たすアミノ酸ですから、ロイシンやイソロイシンとともにしっかり摂取したいですね。