甲状腺ホルモンの働きは多岐にわたりますが、大きく分けると
- 神経系への作用
- 代謝促進作用
が挙げられます。
神経系への作用
神経系への働きとしては、脳神経に作用し働きを活発にしたり、交感神経に作用して心身を活動的にしたりします。
この働きには、先ほど紹介したアドレナリンも関与していますから、チロシンはその両方に関わるアミノ酸なのですね。
代謝促進作用
代謝とは、食品やサプリメントなどの形で取り入れた成分を、別の形に変えて体内で利用する働きのこと。
代謝が活発になると、筋肉の修復や形成が進みやすくなったり、組織の入れ替わりを促したりします。
それ以外にも代謝が活発であることは人間の体にとっていいことずくめ。
そんな代謝を高める働きに、甲状腺ホルモンが深く関与しているのです。
多すぎても少なすぎてもだめ
甲状腺ホルモンが少ないと、上に挙げたような働きが弱まりますから、体にはいいことではありません。
一方で、甲状腺ホルモンが多く分泌されすぎるのも困りもの。
今度は働きが良くなりすぎて、神経や各器官に負担をかけてしまいます。
通常であれば、甲状腺ホルモンの分泌量は適切に調整されます。
ただしその機能に異常が生じることで、それが大きな病気につながることもあります。
睡眠不足時の覚醒改善に
皆さんの中にはお仕事やプライベートなど、さまざまな理由で寝不足になってしまう人も多いことでしょう。
忙しい現代人にとってやむを得ないことですが、寝不足は集中力の低下を招いてミスが多くなってしまいます。
ところが、睡眠不足後にチロシンを摂取することで、集中力を維持する時間が伸びたとする研究があります。
もちろん一時しのぎではありますが、どうしてもという場面ではチロシンの摂取も検討したいところです。
チロシンの摂取方法
チロシンは、単独のサプリメントとしても多く販売されています。
それ以外では、アミノ酸をマルチに配合したサプリメントにも配合されています。
適切に用いれば安全ですが、副作用としては吐き気や頭痛、疲労感などが確認されています。
摂取による異変が疑われる場合は直ちに中断し、医師の診察を受けるようにしましょう。
神経に作用するチロシンは、まさに縁の下の力持ちです。
非必須アミノ酸ではありますが、程よく摂取することで心の安定を保ちたいものですね。