今や日本の女子卓球界を引っ張る存在にもなった伊藤美誠選手。どんなにハードな試合も乗り切ってしまう彼女の筋肉とトレーニング内容が話題となっています。
こちらでは、彼女の強さの秘密について詳しく解説していきます。
体幹強化への取り組み
連日応援ありがとうございました✨
皆様のおかげで、3冠達成することができました☺︎ pic.twitter.com/qL1JsavEaH— 伊藤 美誠 Mima Ito (@MSLpN5xiejmc2Ho) 2018年1月21日
リオデジャネイロオリンピックの卓球女子団体競技における銅メダル獲得以降、伊藤美誠選手は日々体幹を強化させています。
卓球特有ともいえる前後左右への細かいフットワークや、ボールを打ち抜くための力強いストロークには身体の軸を安定させることが欠かせません。
しなやかなスイングからインパクト、そしてフォロースルーまでの一連の流れを無駄なく行い、そのうえで激しいラリーに対応していくために体幹を安定させることが求められるのです。
ボクシングと卓球の共通点
そんな伊藤美誠選手が練習の中で取り組んでいるのが「ボクシング」です。
卓球とボクシングは全く関係が無いように思えますが、そこにはいくつかの共通点があります。
まずボクシングといえば拳を振り抜く動作が真っ先にイメージできますが、その際に身体をツイストさせる動きが卓球のラケットを振る動作に近いということが挙げられます。
さらには、ボクシングにおける前後左右への細かいステップも卓球のフットワークに通じるところがあり、そのような観点からボクシングをトレーニングに取り入れることになったようです。
トレーニングによる体幹の強化
冒頭でお伝えした体幹の強化はそのボクシングのトレーニングによる産物で、対戦をした選手からも「打ち合いの時に身体がぶれなくなった」と評価を得ています。
卓球ではボールへのインパクト直後にラケットを身体の正面に構え直しますが、その基本姿勢がどことなくボクシングのファイティングポーズにも似ているように感じられます。
ボクシングのトレーニングを通して、どのような状況下においても身体を中央に安定させ、まっすぐに力強くボールを打ち抜くことができるようになったようです。
ボクシングのツイスト運動
下記はボクシングの構えと身体のツイストについて解説した動画です。
解説されている内容は以下のとおりです。
- 左右の足それぞれを頭一つ分外側に開き、それぞれを一歩ずつ前後に開く(基本姿勢)
- 足を少し内股にすると身体が安定する
- 回転させる方向にある肩を後ろに引くイメージで上半身をひねる
- その際に膝を曲げず、身体が浮き沈みしないように注意する
重心を中央に保ち、両足それぞれのつま先を意識して身体の半分を回すような感覚でひねることが大切です。
変則的ショットを可能にする体幹
伊藤美誠選手は数多くいる卓球選手の中でも意表を突くショットを放つことで知られています。
その中で彼女のトレードマークにもなっている「タイミングをずらした変則的なフォアハンドショット」は、何人もの対戦相手を苦しめている必殺技ともいえるものです。
「みまパンチ」とは?
彼女が繰り出す上記の特殊なフォアハンドショットは「みまパンチ」という通称でも呼ばれています。
通常卓球のスマッシュは受けたボールを空中で捉え、リズムを作ったうえでラケットを振り抜くように打ち込みます。
反面でこの「みまパンチ」は、リターンボールが上がりきらない時点でラケットをフォアへ被せるように打ち出すため、相手選手にしてみるとタイミングがつかめず対応しきれません。
軸の安定
この変則的なショットを可能にしているのが、伊藤美誠選手の持つ強靭な体幹です。
返って来たボールに対してワンテンポ早く対応するには、下半身の安定感や上半身を含めた全身のバランスを保つことが求められます。
予測のできない打ち合いの中でも身体を安定させ、柔軟でありながらぶれずに軸を保ち続けるのは容易ではありません。
まさにトレーニングの賜物といえるものではないでしょうか。
筋力アップへの取り組み
ボクシングのトレーニングによる体幹強化に加えて、下半身の筋力アップや持久力の強化も彼女の中で課題となっています。
フットワークとラリーへの対応力を高めるために、さまざまなトレーニングが行われています。
敏捷性を高めるトレーニング
伊藤美誠選手が取り組んでいるのが、敏捷性を高めるために細かい動きを繰り返す「アジリティトレーニング」とも呼ばれるトレーニングです。
サッカーやバスケットボールのトレーニングにも取り入れられているラダーを使った細かいステップなどもそれに分類されるもので、フットワークの正確性と重心移動、筋力の増強が期待できます。
中でもサイドステップの動作は大腿直筋の強化に効果を発揮し、試合中の細かいフットワークにも柔軟に対応できるようになります。
また短い距離を行ったり来たりするショートダッシュのトレーニングは、大腿二頭筋や大殿筋などを鍛えることができます。
実際に映像などによって、試合中のフットワークの際に隆起する彼女の太ももの筋肉を確認することができます。
アジリティトレーニングの概要
下記はアジリティトレーニングを解説した動画です。