動画では主に以下のトレーニングについて解説しています。
- マーカーコーンの間を1ステップずつ進む「クイックラン」
- マーカーコーンの間に片足だけを置きながら進む「ポップ」
- マーカーコーンの間で左右の足を入れ替えながら進む「シャッフル」
- 二歩進み一歩下がる「変則的なラン」
- ジグザグに並べたマーカーコーンの間を左右に動く「サイドステップ」
基礎練習への取り組み
伊藤美誠選手が卓球を始めたのは彼女が2歳の頃で、母親が考案したオリジナルトレーニングを中心に幼少期から練習に取り組んでいました。
そんな彼女は卓球の基礎的な練習に対して後ろ向きな発言をすることも多く、日本代表として活躍する以前は基礎練習を避けてきたとも語っています。
リオデジャネイロオリンピック以降は改めて基礎練習に立ち返り、根本的に自分自身の練習メニューを見つめ直したようです。
多球練習について
卓球の基礎練習として彼女が取り組んでいるのが「多球練習」と呼ばれるトレーニングです。
「多球練習」とは一定時間の間に何度も打ち出されるボールをひたすら打ち返すトレーニングのことを指します。
多球練習の解説動画
下記は多球練習について解説している動画です。
動画でも解説されているように、多球練習は一般的にショットの種類を決めたうえで行います。
フォアのドライブ、バックのドライブ、そしてそれぞれの複合など、打ち出されるボールに対して決められたショットで対応します。
多球練習の特徴
多球練習は通常の練習とは違い、時間を決めてその間常に動き続ける形式で実施されます。
決められた回数をこなして終了するということではなく、あらかじめ動き続けなければいけない時間が決められているということです。
この「動き続ける」という点が多球練習の一番の特徴であり、基礎練習としてもっとも効果を発揮する要因ともいえるものです。
多球練習の効果と実績
持久力の強化
多球練習によって最も培われるものは持久力です。
お伝えした通り一定時間の中で絶えずボールを打ち返すためには、常にボールに対してフットワークで対応し、腕を振り続ける必要があります。
たった5分の多球練習でも絶えずボールを打ち返し続けるというのは相当ハードであり、その分プレイを続けるためのスタミナが必然的に強化されます。
ショットの精度を高めるトレーニング
また、多球練習は純粋にショットの精度を磨くための練習にもなります。
スタミナ的に追い込まれた中で、あらかじめ決められたショットによって正確にボールを返すというのは思いのほか難しいものです。
多球練習のようにハードな状況下でも確実にボールを打ち込めるということは、試合でのパフォーマンスアップにつながるといえるでしょう。
多球練習を否定する声
このように、卓球の基礎練習として大きな効果をもたらす多球練習ですが、一部ではそれを否定する声も耳にすることができます。
多球練習によって相手から打ち込まれるボールはあくまでトレーニング用の緩い球速を持ったものであり、試合中のボールとは全く性質が異なります。
それをいくら何度も打ち返したところでトレーニングにはならない、というのが否定的な見方をする人たちの考えだとされています。
また多球練習はひたすらボールを打ち返すだけの地味なトレーニングでもあるため、そのような印象もこのトレーニングを軽視する要因になっているのかもしれません。
基礎練習によって得られたもの
この否定的な声がある反面で、伊藤美誠選手は基礎練習に改めて力を入れたことで確実に成果を出すことができるようになったと語っています。
一見地味に見える多球練習や前述の体幹トレーニングなども、ここぞという場面で力を発揮するためには欠かせないものです。
アスリートの華々しい結果や評価の影には、このような地道な努力があるのです。
国外の評価
「卓球王国」とも呼ばれる中国のメディアにおいて、伊藤美誠選手は「大魔王」という表現で称賛されています。
独創的なプレイスタイル
彼女のプレイスタイルは独創的で、中国における卓球のセオリーからするとそれは異質であるともいわれています。
試合の中で相手の戦略とその日のコンディションを察知し、柔軟に対策を組み立てながら思いもよらない方法で対応する彼女は中国にしてみれば怖い存在です。
つかみどころのないその姿に「大魔王」という表現が用いられたのでしょう。
唯一無二のセンス
対戦相手の予測を越える対応力により、どんなボールも自分のものにしてしまうリターンのセンスは唯一無二です。
今後年齢を重ねていくことで選手としても成熟し、その独創的なプレイにさらに磨きがかかっていきそうです。
まとめ
ここまで、伊藤美誠選手のトレーニング内容やそのプレイスタイルなどについて解説してきました。
そこには卓球に真摯に取り組むアスリートとしての姿があります。
今後も彼女の活躍に注目していきましょう。