弓道をこれから始めたいと思っている人や、弓道を始めたけれど自分にぴったりの弓が見つからないという人の為に「弓」の選び方や「弓」の人気ランキングをお届けします。
伝統ある弓道には独特の名称があり始めは戸惑ってしまうことがあるかもしれません。習う際に知っておきたい名前、そして弓の基本となる素材や重さを細かく解説していきます。
敷居の高い弓道をもっと身近に楽しめるよう「弓」の世界をたっぷりとのぞいていきましょう。
弓の選び方
弓道で使用する弓は和弓とも呼ばれ、個人の体格によって長さが違ったり、素材が異なったりと多種な弓が存在します。
まずは自分に合った弓を手にする為に気を付けておくべき要点を確認します。
自分の体にあった長さ
弓の長さは使用する矢束(やつか)の長さで変わってきます。矢束とは使用する矢の長さのことを意味します。
矢束の長さは、自分の左手を真横に伸ばし喉から左手の中指までの長さとなります。
弓の長さ | 矢束 |
三寸詰(212cm) | 80cm以下 |
並寸(221cm) | 85cm以下 |
二寸伸(227cm) | 90cm以下 |
三寸伸(230cm) | 95cm以下 |
四寸伸(233cm) | 100cm以下 |
弓の強さが自分に合っているもの
弓力は基準となる並寸10kgを例に挙げると、並寸の弓を85cm引いた時の力=10kgということなります。
弓に合った最大の長さ(最長の矢束)で引いた際の弓力が表記されることになります。
少々わかりにくいので、自分の引く力を導き出す数式を紹介します。
- 握力の半分の数値×8
※弓力を「強い弱い」と表記する場合と「重い軽い」と表記する場合があります。弓自体の重量と区別するため、ここでは「強い弱い」の表現を用いています。
初心者は耐久性のある反動の少ない弓がおすすめ
弓の素材は様々ありますが、初心者の場合は耐久性があるものを選ぶといいでしょう。
下記でも詳しく説明致しますが、グラスファイバー弓やカーボンファイバー弓などは耐久性が高いのでおすすめです。
また初心者は離れの反動が少ない練心の弓から入るのが基本です。練心は離れの時の反動が少なく姿勢を維持しやすい弓です。その分矢飛は弱くなりますが基礎となる姿勢をかためるのにはちょうどいいのではないでしょうか。
的中を狙う場合は矢勢の強い弓を選ぶ
弓は使用されている素材や種類によって飛んでいく矢の勢いが異なります。矢勢が強い方が矢が直線的に飛び的中率は上がります。
しかし気をつけたいのは反動です。矢勢のみを重視するとその分矢を射った時の反動が大きく姿勢を崩してしまいます。
その為自分の姿勢が崩れない範囲の矢勢を選ばなければなりません。上達には反動に負けない体幹力も必要となります。
上記でも紹介しましたが、初心者は反動の少ない練心を使用しその後反動が強く矢飛のよい直心に変える人が多いです。
しかし指導者の中には初めから的中率の良い直心で練習を指導する人もおり、どちらが良いとは一概にはいえません。
価格帯をおさえておく
弓は使用されている素材によって価格が変わります。上級者向けの竹弓は限られた竹を使用し職人が手作りをする為、価格も高めで10万円前後が相場となっています。
一方グラスファイバー弓などは機械生産になるので相場は3万前後となります。更に軽さが特徴のカーボンファイバー弓の相場は4万円前後となっています。
あくまでも価格は目安となり弓によって大きく異なる為、自分の予算にあった弓を選択しましょう。
価格帯も選ぶ基準になるのではないでしょうか。
握り革は滑りにくい鹿革がおすすめ
弓を使用するには「握り革」が必要です。弓を持つ部分に巻くものですが、基本的に消耗品になります。
様々な種類の握り革がありますが、基本的には滑らない鹿革を使用するのが一般的です。
弓道を長くやっていくと、握り革は好みや自分が使用しやすいものを選択しますが、初心者のうちは滑らず吸水性の高い鹿革がおすすめです。
弓の材質で選ぶ方法
弓には大きく分けて3種類の素材が使用されています。素材によって価格も使用感も異なる為、弓を選ぶ際の大きな基準になります。
上級者におすすめの「竹弓」
上級者に人気の竹弓は他素材に比べ飛びにくく、的中率も低いものです。しかし竹は弓道本来の道具であり自然な力で滑らかな型が実現します。
的を射ることに加え射行も楽しむことが出来る弓です。手入れ方法も難しく高価な弓になります。
耐久性の高い「グラスファイバー弓」
グラスファイバーは耐久性に優れ手入れも簡単な為、初心者向きの弓といえます。
竹のような伸縮性がない為に反発力が強く、矢を引いた際にに力がかかりやすいので矢は遠くに飛びやすくなります。
反面、伸縮性のないものを引くので放った際の振動が大きくブレやすいというデメリットを持っています。
価格帯は最も低価で初心者が購入しやすい弓です。
的中確率の上がる「カーボンファイバー弓」
カーボンファイバーは軽いのが特徴で、グラスファイバー以上の反発力を持っているので矢が最も遠くに跳びやすい弓です。
カーボンファイバー弓も矢を放った際の振動が大きく、筋力が安定していないと矢どころが乱れることもあります。
手入れもしやすく価格はグラスファイバー弓よりも少々高めになっていますが、その軽さゆえに筋力の弱い女性などに利用者が多いのも特徴です。
弓の名称をマスターする
弓道を始めると指導者によっては、聞き慣れない弓の名称を普通に使用します。
知っておくと心強い弓の名称を確認しておきましょう。
末弭と本弭
末弭(うらはず)とは弓の先端部分のことを指しています。一方本弭(もとはず)は弓の下端を指しています。
末弭と本弭は弓の弦をかける場所となり、双方まとめて弓弭(ゆみはず)と呼ばれます。
弓の成り
弓の成りとは、その名の通り弓の形のことです。手作りの竹弓は当然のことながら、機械で作るグラスファイバー弓やカーボンファイバー弓もメ―カーによって成りは異なります。
成りは弓の張顔とも呼ばれ、職人が心血を注ぐ場所でもあります。有名なものでは京弓(きょうゆみ)や紀州成(きしゅうなり)などが挙げられます。
上級者になるとわずかな成りの違いによって反動や矢飛びなどに違いを感じるようです。
成りは更に細かく分けると、弓の構造に沿って上部から姫反(ひめぞり)鳥打(とりうち)銅(どう)大腰(おおごし)小反(こぞり)と分類されます。
藤の三カ所巻と五カ所巻
現在はさほど重視されていない三カ所巻と五カ所巻ですが、歴史的には完熟した弓に五カ所巻を使用していたといわれています。
藤は負荷のかかりやすい場所に弓の保護のために巻かれています。
【三カ所巻】
- 上切詰藤(かみきりつめどう)→弓の上部である末弭のあたり
- 矢摺藤(やずりどう)→握りの上部
- 下切詰藤(したきりつめどう)→弓の下端である本弭のあたり
【五ヵ所巻】
- 上切詰藤(かみきりつめどう)→弓の上部である末弭のあたり
- 矢摺藤(やずりどう)→握りの上部
- 下切詰藤(したきりつめどう)→弓の下端である本弭のあたり
- 飾藤(かざりどう)→飾り藤は握り上部の藤の上
- 握下藤(にぎりしたどう)→握りの下部