股関節にのる感覚が生まれるとクォーターでも十分臀筋に刺激が入ります。骨盤前傾位でこうしたイメージを高めてください。
ムーブメント・インストラクション
ダウン・スクワットは先に示した+5度の骨盤前傾と股関節から曲げるヒップ・リードを早期に身に付けることを心掛けましょう。
- 骨盤を+5度前傾させる(立位姿勢)
- 左右の手をそれぞれ同側の鼠径部に置く(開始位置)
- 手で鼠径部を斜め後方にわずかにプッシュ
- 股関節主導で曲げていく(膝は意図して曲げない)
- お尻を斜め後方につき出すように腰を落とす
- 最初はクォーター、慣れたらハーフを目標に
- 下げる時は意識的にスローテンポ(上げる時はリズムよく)
効かせるコツ
なるべく少ない回数でもターゲット筋が働くよう、意図的に下がるのを我慢しながら、体を降ろすイメージを作りましょう。
ヒップリード屈曲はお尻をきっちり斜め後方につき出すことができるため、よりダイレクトなトレーニング効果を引き出せます。
下げる際に動画のようにアームモーションをとり入れることで、より荷重を感じやすくなるはずです。
片脚荷重MAX!ディープランジ・プラス
レッグランジにも様々な種目がありフィットさせるメニュー選択には事欠きません。ここでは特にプリ尻を目指すための超効果的なモディファイド・ランジをご紹介します。
ワイドに開く
ランジの特徴はなんといっても足を前後に開く動きです。前後開脚では前脚の股関節にしっかり体重をのせる感覚が両脚を揃えるスクワットに比べて格段に高まります。
前脚への荷重オン・オフによって特に臀筋群への大きな刺激を生み出すため、通常のランジよりさらに大臀筋をターゲットにできるディープランジ・プラスを選択しましょう。
ムーブメント・インストラクション
ディープランジ・プラスはランジ姿勢で前脚側の股関節に荷重した状態からスタートします。
非常にシンプルなので動きの特徴をいち早くつかむことができるでしょう。動画で動きを確認して下さい。
- 後脚を床についたディープポジション(開始位置)
- +5度の骨盤前傾位を確認
- 脊柱アーチを確認
- 前脚と同側の手を腰やや下方部に添える
- 骨盤を後脚側へほぼ水平に捻る
- 捻る⇔戻すをスローテンポで実施
右脚フロントポジションなら骨盤を水平反時計まわりに、左脚フロントなら水平時計回りに捻ります。
効かせるコツ
通常のランジでも臀筋群は働きますがディープランジ・プラスだと、水平方向での骨盤の捻りによる収縮は従来の比ではありません。
この捻りに応じてやや腰の下方に添えた手で最大収縮する大臀筋の筋緊張をしっかり感じとれるため、当初設定したプリ尻へのモチベーションがさらに高まるでしょう。
ダイアゴナル・ヒップエクステンション
通常よりさらなる効きめを促すため、ちょっとした工夫を施したダイアゴナル・ヒップエクステンション(DHE)をご紹介します。
DHEの特徴
この手の種目は足の動かす方向によってその効果は大きく変わります。
従来は真上に挙げる軌道でハーフウェイから支持脚側斜め上方へファイナル・プッシュを加えるのが、DHEの大きな特徴で、この動きが大臀筋の最大収縮を促すコア・メソッドです。
筋繊維が斜め外側を向く大臀筋だからこそダイアゴナル・モーションが最適で、動かす脚の重さをお尻で直に感じながらコントロールする能力が高まります。
ムーブメント・インストラクション
自重トレ全般にいえることですが、如何に起点となる関節への荷重を増やせるかが大切です。比較的ゆっくりした動作をおすすめする理由もこの点にあることをご承知下さい。
- 骨盤の+5度前傾姿勢を確認
- 四つん這い姿勢(開始位置)
- 左膝に若干ウェイトシフト
- 膝直角位で右脚をゆっくりと挙げる
- 挙上中盤から右脚を左の骨盤方向へ斜めにプッシュ
- フィニッシュで一端動作をストップ
- 元の軌道を目安にスローテンポで降ろす
最初は意識と実際の動作が合わず、挙上・下降中にぶれる懸念もありますが、続けることでしっかりと股関節を支点とする安定した動きに変わってくるはずです。
動きのコツ
主働筋となる大臀筋がメインターゲットですが、拮抗筋とのバランスや共働筋のサポートによるスムースで協調性のある動きを目指しましょう。
ダイアゴナル・ムーブメントによる下背部への強ストレスが、大臀筋の収縮感覚を上回るかもしれません。
こうした腰への強い刺激はお尻にも十分効いている証拠です。是非、この感覚に近づけるようダイナミックな動きを心掛けてください。
シングルレッグ・デッドリフト
ビッグスリーのひとつに数えられるデッドリフトは背中やハムストリングだけでなく、やり方によっては臀筋群に十分効かせることも可能なマルチワークアウトです。
SLDLの特徴
自重を利用したデッドリフトではよりウェイトを感じる必要があるため、いわゆる片脚支持のシングル・レッグ・スタンスで実践します。
両脚で体重を支えるより片足荷重のほうが単純計算で2倍のウェイト比となるため、背中ー臀筋ーハムストリングへの大きな荷重負荷を感じられるでしょう。
ムーブメント・インストラクション
当初はバランスを重視する意味で完全なシングル・レッグ・スタンスより、非支持足を床面に付いたパーシャル・ポイント・スタンスで実施してください。
- +5度の骨盤前傾位を確認(スタートポジション)
- 右手をお尻に添える
- 右足へのウェイトシフト
- 股関節を曲げていく(膝は極力曲げない)
- バランス維持で左足つま先を床面に接地
- 股関節を起点に上肢を90度曲げる(エンドポジション)
- ゆっくりとスタートに戻す
効かせるコツ
あらかじめ体重を動かす側にシフトし、その状態をしっかりと維持します。これがシングル・レッグ・スタンスでのデッドリフト効果を最大限に高めるコツです。
片脚立脚では大臀筋だけでなく左右へのブレをコントロールする中臀筋・小臀筋への刺激も大幅に高まるため、お尻上部の盛り上がりを気にする方には特におすすめです。
サイド・レッグキック
ここではレジスタンスを利用したチューブド・サイド・レッグキックをご紹介しましょう。
SLKの特徴
プリ尻を作る最強のトレーニング・メソッドのひとつに数えられるSLKの動きは、尻トレの王様ともいえる辛さ・きつさを呈します。
従来の自重トレでは実現し得ないハードワークの要因は、ズバリ四つん這いでのいわゆる股関節水平外転と後方キック動作に起因します。
脚を90度近く真横に広げることがそもそも非常にきつい上に、その位置を維持したまま後方へキックすることで、動作ストレスは2倍になることが予想されるからです。
ムーブメント・インストラクション
この動きを完全なる軌道で再現することが非常に困難なのは、膝の屈曲・伸展範囲での水平外転をそのまま維持できないことが大きな原因です。
そこでチューブやセラバンド等の抵抗を利用し、動作脚の脇腹への引き付けと押し出し軌道を安定させます。常にターゲット筋へのストレスがかかるため、確実なトレーニング効果が望めるでしょう。
- +5度の骨盤前傾位を確認
- 四つん這いハンズ&ニーズ
- わっかにしたチューブを蹴る足と対角線の肩にひっかける
- 左膝に体重をシフト
- 直角にした膝を真横に挙げる(この動作がキツイ)
- 真横から後方へキック
- スローテンポで元の位置へ戻す
動きのコツ
骨盤を前傾させると股関節水平外転を90度に近づけることが可能です。
逆にいえば前傾操作がないと水平外転が不十分でキックだけの動作となり、当初設定した臀筋群への大きな刺激は得られません。
水平外転する脚へのストレスは+5度の骨盤前傾をベースに、同側の腰~臀筋上部付近に最大に加わるよう動作中は常に調整する必要があるのです。
この大臀筋への筋収縮に伴う辛さを体感できれば、ほぼ完ぺきなSLK動作を実現できているといえるでしょう。
まとめ
プリ尻を目指すための今日からでもできる最強トレーニング法として、自重を利用した尻トレを紹介し効果を高めるコツを徹底解説しました。
ボリューミーで引き締まったワンランク上のヒップへつながる道は険しさではなく、自らが楽しみならが継続できるワークアウトの実践に他なりません。
おすすめするメニューをベースとしてルーティン化し、臀筋群の機能する様を感じるボディセンスを磨き上げましょう!
目指すゴールへの道筋は着実に開けるはずですよ。