ラグビーはボールを所持しているプレイヤーにだけタックルすることができますが、肩より上へのタックル行為は反則です。反則がなければタックルしてもプレイが中断されることはありません。
アメフトにおいてもタックルはボールを持っているプレイヤーに行います。
しかし攻撃を阻止する場合やディフェンスプレイヤーへブロックする場合に限り、ボールを持っていない選手にタックすることが可能です。
アメフトではボールを所持しているプレイヤーがタックルされてしまうとそこでプレイ終了となります。
監督からの指示
ラグビーとアメフトでは監督からの指示においても違いがあります。
ラグビーではゲーム中に監督が直接プレイヤーに指示やアドバイスを出すことができません。
ゲームの流れが把握できる場所で観戦しながら、選手の交代が必要な場合はベンチのトレーナーにトランシーバーで伝えています。
プレイヤーの自主性を重んじるという概念がラグビーの伝統にあるため、選手たちが考えて判断しながらゲームを行うことが尊重されます。
アメフトでは装着しているヘルメットにスピーカーが搭載されています。マイクはないので選手が話すことはできませんが、スピーカーを通して監督やコーチからの指示を受けています。
ラグビーの歴史
ラグビーというスポーツの起源には諸説ありますが、イギリス中部に位置するラグビーという街のラグビー校が発祥の地だといわれています。
サッカーの派生がラグビー
イングランドにおいて最も古い名門私立中等教育学校(パブリックスクール)であるラグビー校で、1823年サッカー(イングランドではフットボール)の試合が行われていました。
その試合中に、ある青年がボールを手に持ったまま敵側のゴールに向かって走ったことが現在のラグビーの起源だとされています。
ラグビーが生まれるきっかけとなった青年の名前は「ウィリアム・ウェッブ・エリス」といいますが、ラグビーワールドカップの優勝カップは「ウェブ・エリス・カップ」と命名されています。
アメフトの歴史
アメフトは19世紀の後半にイギリスからアメリカにラグビーが伝わり、主に大学同士で試合が行われて発展したスポーツです。
アメリカが生んだ爆発的人気のスポーツ
イギリスから伝わってきたラグビーはルールが曖昧だったことから、アメリカが独自にルールを定めることになりました。そこで新しく生まれ変わったスポーツがアメリカンフットボールです。
最初の大きなルール改定を働きかけた人物が「アメフトの父」といわれるエール大学の「ウォルター・キャンプ」です。
アメフトはアメリカで人気の高いバスケットボールや野球よりもさらに支持されているスポーツです。アメリカで実施された近年の世論調査では、最も好きなスポーツの第1位にアメリカンフットボールが選ばれています。
ラグビーとアメフトに関する豆知識
ラグビーとアメフトのルールや歴史についての違いを解説してきましたが、最後にちょっとした豆知識も紹介します。
楕円のボール
アメフトよりもラグビーの方が先に誕生していますが、ラグビーボールの形はなぜ楕円なのでしょうか。
ラグビーボールが楕円球である理由は諸説ありますが、信憑性の高い理由としてその昔、豚の膀胱がボールとして使用されていたという説が挙げられています。
豚の膀胱を膨らませて表面に革を貼りボールとして使用していたということですが、膀胱は膨らませても完璧な丸球にはならず楕円に近いものだったといわれています。
ラグビーの「トライ」
ラグビーで「トライ」すると5点取得することができます。「トライ= Try(試す)」となりますが、ラグビーでのトライにはどういった意味があるのでしょうか。
昔は「トライ」を決めても得点にはならず、その後のキックが成功すれば勝つというルールだったそうです。
そのため「トライ」は「勝ちにつながるキックを試すことができるチャンスを獲得した」という意味になるようです。
アメフトの花形人気ポジション:QB(クォーターバック)
アメフトの中心的な花形ポジションといえばQBです。QBの役割はボールを投げるだけでボールをキャッチすることは行いません。
QBはケガなどに見舞われないよう練習時には特別扱いされています。まず間違えてQBをタックルしないようQB選手は他のプレイヤーと異なる色のジャージを着ています。
QBがケガや故障をしてしまうとチーム全体に影響するため、徹底した管理下で練習が行われます。そのため突き指を始め、指のケガを避けるためにもボールのキャッチは許されていません。
またQBの身体管理がいかに重要視されているのかが分かる話があります。アメリカのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)に加盟するチームのQB選手が休暇中にバスケットボールで遊んでいたそうです。
ところがバスケの最中にケガをしてしまいました。バスケットボールは指のケガが起こりやすいため、契約書には「バスケットボールは禁止」という項目がありました。
休暇中とはいえ禁止であるバスケットボールをしてしまったこのQB選手は、契約違反でチームからペナルティを受けることになったそうです。
まとめ
ラグビーとアメフトの違いについて相違点を整理しながら徹底解説しました。似ているようにみえる2つのスポーツですが、実は全く異なるルールのもと試合が行われています。
各プレイヤーがサッカーのように攻撃と守備ができるラグビーと、それぞれの役割が完全に分かれているアメフトではさまざまな面で相違点があることが分かります。
ルールや歴史の違いの他にも、ラグビーとアメフトのちょっとした豆知識があるとそれぞれのスポーツをより楽しく観戦することができるでしょう。