またタックルする際は頭を上げて相手をしっかり見る必要があります。頭が下がっていると相手プレイヤーの動きが見えないだけでなく、頚椎を損傷するような事故につながる場合があります。
タックルに必要なラガーマンの能力とは?
タックルは相手選手のボールを奪うだけの単なるディフェンスプレイではありません。タックルが成功すると試合の流れを変えたり試合に勢いを与えたりすることができる重要なプレイの一つです。
試合のカギとなるタックルを行うラガーマンにはどのような能力が必要なのでしょうか。
強い意志を持っている
タックルを行うラガーマンはまず第一に「自分が絶対止める」という強い意志を持っていなければなりません。不安や自信のなさが少しでもあるとタックルを成功させることはできません。
身体的な能力(フィジカル)
タックルをするラガーマンはボールを保持しているプレイヤーの前進を全力で阻止しなければなりません。
攻撃側もトライをしようと必死で突進してくるのでタックルを行うラガーマンには強靭な身体能力が要求されます。
「ナイスタックル」は相手を一発で倒し成功させることです。体格が大きければ相手を必ず倒せるというわけではありませんが、高い身体能力がなければ有効なタックルでチームを守ることはできません。
またタックルは肩から相手プレイヤーに入っていきますが、頭部を守るためにも首の筋肉をしっかり鍛えることが重要となります。
技術的な能力(テクニック)
身体が大きく強ければ相手プレイヤーを必ず倒せるということではありません。タックルを行うラガーマンは相手プレイヤーの体格や状況をよくみてタックルを仕掛けなければなりません。
ボールを持った選手が自分より体格が大きいのであれば、技術やスピードを重視したタックルでアプローチする必要があります。
相手の動きを見ながらギリギリまで待ってタックルに入るベストなタイミングを掴むことも大切です。
絶対に抜かれないということを意識して、自分との距離を少しでも縮めてから相手の懐に入る技術的な能力が重要となります。
タックルを成功させるための筋トレと練習
タックルに必要な身体能力を上げるにはウェイトトレーニングで筋肉を発達させる必要があります。ラガーマンとしての強靭な身体づくりに効果的な基本の筋トレはベンチプレスとスクワットです。
ベンチプレス:強靭な大胸筋
ベンチプレスは大きな上半身をつくるために欠かせないウェイトトレーニングです。
身長190cmのリーチ・マイケル選手のベンチプレスは160kg、ラガーマンとしては小柄な身長166cmの流大選手もベンチプレスは155kgでパワーのある身体をつくり上げています。
- バーの真下に顎がくるようにベンチに仰向けになる
- バーについているラインに小指を合わせてバーを握る(身長170cm前後の場合)
- バーを外して息を吸いながら下ろしていく(手首を寝かさずに立てる)
- 大胸筋の下あたりにバーを下ろす(下ろす位置が悪いと肩を傷めたり大胸筋への効果が薄れたりする)
- 息を吐きながら垂直にバーを上げる
ダンベルスクワット:すばやい方向転換
スクワットは足の内転や外転、伸展の動作をサポートする大臀筋や四頭筋を鍛えることができます。この部位を鍛えると、ラグビーにおいてはタックルで必要となるすばやい方向転換がしやすくなります。
ダンベルを持つことで負荷をかけることができるので、慣れてきたら徐々に重くしてみましょう。
- ダンベルを身体の横に持って足は肩幅に開きつま先を少しだけ外に向ける
- イスに座るような感覚で腰を垂直にゆっくり下ろす(膝を曲げるというより腰を下ろすイメージ)
- 膝が直角になるまで4秒かけて腰を下ろす
- 4秒かけて元の位置に戻り膝は完全に伸ばさない
技術力を磨く練習
技術的な能力をいてスキルアップするには、地道にタックルの練習を重ねコツを掴んでいく必要があります。
- タックルは身体に当たる時のスピードと接点を意識する
- 接点を意識して腰のあたりに入り込み腰をしっかりバインドする
- バインドしたまま相手を倒す
- 腰を持ったまま手前に引くと相手が後ろに倒れ込みやすくなる
危険な違法タックルについて
ワールドラクビーの規則の中には「ラクビー精神」として品位・情熱・結束・規律・尊重という5つの要素が掲げられています。
タックルは相手チームの攻撃を食い止めるためのディフェンスプレイであり、危険な違法タックルはラグビー精神に背いた行為となります。
ラグビー精神に則ったフェアプレイで戦うためにも危険な違法タックルをチェックしておきましょう。
肩から上を狙ったハイタックル
肩の線から上に入るタックルは危険なタックルと判断されます。肩より上に行うタックルは頭部に直接ダメージを与えてしまう可能性があり、危険度が高いので意図的な行為でなくても反則となります。
このようなタックルを「ハイタックル」とよびますが、近年ではハイタックルに対してレッドカードが多く出されているため最も危険な違法タックルだといえます。
持ち上げて地面に落とすノーバインドタックル
相手プレイヤーにぶつかる際に相手をバインドせずに持ち上げて上半身から地面に落とすタックルは危険な違法タックルとなります。
タックルはバインドして行うことが基本です。腕で相手を抱え込まずにぶつかる「ノーバインドタックル」は相手が吹き飛んでしまう可能性が高く危険なタックルと判断されています。
ボールを持っていない選手へのノーボールタックル
ボールを持っていない相手にタックルする行為は「ノーボールタックル」とよばれペナルティの対象となります。
ボールを保持していない選手はタックルされるとは思ってもいないため、このような不意打ちが伴ったタックルはケガにつながる危険な行為とみなされます。
まとめ
ラグビーにおいて試合の流れを変えチームに勢いをつけるプレイの一つであるタックルの種類やコツを徹底的に解説しました。
ラグビーは体格のよい強い選手同士が激しくぶつかり合うというイメージがありますが、ラグビー精神として第一に相手を尊重して戦うということが基本となっています。
そのためタックルを行うラガーマンはゲームに勝つためのタックルを成功させる身体能力と同時に、相手にケガをさせない技術のあるタックルを行わなければなりません。
ラグビー精神に則って戦うためにも危険な違反タックルをしっかりとチェックし、心身ともに潔いプレイができるラガーマンを目指しましょう。