多様な働きをする不飽和脂肪酸

構造が不安定な不飽和脂肪酸は、エネルギーとしての利用には向いていません。
その代わりというわけではないでしょうが、コレステロール値を適切に調整したり、脳に働きかけたりなど多様な働きをして人間の活動を支えます。
本題のオメガ3脂肪酸のほか、同じ不飽和脂肪酸である「オメガ6脂肪酸」も、摂取が推奨される脂肪酸です。

飽和脂肪酸は悪か?

かつて、飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やしたり、心臓疾患のリスクを高めたりするなどして、できる限り摂取量を減らすよう求められてきました。
しかし近年、心臓疾患と飽和脂肪酸の摂取量に明確な因果関係は存在しないとの研究も発表されています。
また、飽和脂肪酸の中にも「ステアリン酸」のように善玉コレステロールを増やす働きをするものが確認されています。

それどころか、飽和脂肪酸の摂取量が少なすぎると害をもたらす危険性も指摘されています。
例えば、飽和脂肪酸の摂取が少ない女性では、善玉コレステロールの数が減少し、心臓疾患のリスクが増すことが報告されています。
ほかにも、飽和脂肪酸の摂取を減らすと脳出血のリスクが増すことも確認されています。

巷には古い常識をそのまま掲載し、飽和脂肪酸を一方的に悪者にしているケースも見られます。
自分の健康に関わることですから、常に新しい情報を頭に入れておくようにしましょう。

飽和脂肪酸の推奨摂取量は?

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、総エネルギー量における脂質の摂取割合は25%程度。
そのうち、飽和脂肪酸は総エネルギー量の7%以下としていますので、これを超えない範囲で適度に摂取するのが望ましいでしょう。
バランスのよい食事

オメガ3脂肪酸の特徴

中性脂肪に効果があるDHAとEPA

オメガ3脂肪酸のうち、よく知られているのはDHAとEPAです。
これらはいずれも、特定保健用食品(トクホ)にて、中性脂肪に効果があると表示することが認められている成分です。
中性脂肪はエネルギー貯蔵の役割を果たす一方で、これが多すぎると健康上のリスクになりうるとされています。
いわゆるメタボ検診でも、中性脂肪の値は腹囲などとともに重要視されています。

心血管疾患に効果があるALA

DHAやEPAとともに摂取が推奨されるオメガ3脂肪酸のALA。
こちらは心血管疾患に対して効果があると言われます。
6年にわたってALAを摂取した男女において、心筋梗塞のリスクが6割ほど低下したとの研究結果があります。

ただし、これはすべてがALAの効果と確認されているものではありません。
とはいえ、ALAを多く摂取できるような食生活の人において心筋梗塞のリスクが下がったことは確かな事実です。

注目の効果はほかにも

DHAは脳に多く存在する物質としても知られています。
DHAを多く摂取するした子どもはIQが高くなるとの調査結果もありますので、特に成長期においてしっかり摂取したい物質です。

EPAは血液をサラサラにする効果が注目されています。

オメガ3脂肪酸の摂取量や副作用

オメガ3脂肪酸の推奨摂取量

なお、不飽和脂肪酸の摂取目安量は30代男性で12g程度。
そのうち、オメガ6脂肪酸が10g、オメガ3脂肪酸が2.1gを望ましい割合としています。
推奨摂取量は年齢によっても異なりますから、こちらのサイトから確認するとよいでしょう。

【関連資料】日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要(厚生労働省)(pdf資料)

オメガ3脂肪酸の副作用

オメガ3脂肪酸は、適切な量を摂取する分には重大な副作用は確認されていません。
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、サプリメントから摂取する場合、DHAとEPA合わせて2gを超えないよう指導しています。

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オメガ3脂肪酸は、中性脂肪に働きかける効果のある脂肪酸です。
脂肪の摂取が肉類に偏っている場合は不足しがちになりますから、時には青魚を食べて必要量を補うようにしましょう。

  

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