「飛距離やスコアを伸ばしたい」ゴルフを嗜む人ならば誰もが掲げる目標ですね。御存知の通り、ゴルフ上達に必要なのは正しいスイング。
正確かつ躍動的なスイングをマスターする為に日々素振りの練習をしたり、筋トレをしている人も多いのではないでしょうか。しかし誤った知識やトレーニング法で無駄な筋肉を付けてしまうと、逆にプレイの妨げになってしまう場合があります。
ゴルフスイングに本当に必要な筋肉とは一体何でしょう?プロゴルファーが実践しているトレーニングなども参考に、ゴルフの為の筋肉作りを今一度見直してみましょう。
ゴルフに筋トレは必要なのか
どんなスポーツにおいても筋肉はとても重要な役割を担っています。それはゴルフという球技にとっても同じこと。鍛えられた肉体が放つ力強いショットを見ていると、筋肉の重要性を感じざるをえません。
ところが男性に比べ腕力や筋肉量の劣る女子プロゴルファーでも「飛ばし屋」と呼ばれる人々が存在します。
それはつまり、ゴルフという競技においては筋肉量と飛距離が必ずしも比例するとは限らないという事です。飛距離が筋肉量で左右されるものでないのならば、一体何が飛距離の決め手となるのでしょう?
それは筋肉の場所としなやかさです。
ただ力量を生み出す為の固い筋肉ではなく、遠くに飛ばすためのしなやかな筋肉が必要となるのです。その為にも、筋トレはゴルファーにとって欠かせないルーティンとなっています。
誤った筋トレには要注意
ゴルフには過剰な筋肉が不要、という定説があります。それは鍛え過ぎた筋肉により、体の柔軟性が損なわれたり、肩や腕の可動域が狭まってしまう恐れがあるからです。
また、誤った筋トレによりアンバランスな筋肉が付いてしまうと、骨や関節・腱などの怪我の原因になりかねません。なのでまずはバランスの良い適度な筋肉を目指してトレーニングをすると良いでしょう。
ゴルフに必要な筋肉とは
「飛距離を伸ばすには腕力が必要」と熱心に上半身のトレーニングをしている人を見かけますが、それは大きな間違いです。
腕に力が入り過ぎたスイングは不安定でミスショットを起こし易いといわれています。ではゴルフをプレイする為に重要な筋肉とは何でしょう。
一般的にゴルフに必要な筋肉は下半身の筋肉と背筋、そして大菱形筋(だいりょうけいきん)といわれています。
大菱形筋(だいりょうけいきん)とは
大菱形筋とは背中の上部、肩甲骨内側から胸椎の棘突起に繋がる菱形の薄い筋肉です。隣り合っている小菱形筋と共に肩甲骨の内転など、肩の可動域に大きく関わっています。
菱形筋が機能不全に陥ると肩甲骨の安定性がなくなり、姿勢の悪化(猫背など)や強い痛みを感じる様になってしまいます。
なぜ下半身の筋肉が必要なのか
大きく腕を振り上げてボールを打ち上げるというスイングの動作。一見すると肩まわりの広背筋、三角筋、上腕二頭筋などが大きくかかわっているように思われがちですが、良いスイングをするには姿勢と背筋と下半身の強さが肝心です。
その中でも特に重要視されるのが下半身の筋肉。両足で地面を踏みしめ、蹴り上げると同時に腰を回転させクラブを素早く振り下ろすには足元の安定感と瞬発力が必要だからです。
この「踏ん張り」と「瞬発力」が足りないとショットが伸び上がってしまいます
鍛えるべき筋肉は「大腿四頭筋」
正しいゴルフスイングに必要な下半身の筋肉、その中でも最も重要なのが大腿筋(太ももの筋肉)です。
特に大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は下半身の力やバネに直結する筋肉なので、ゴルフに限らず様々なスポーツで最重要視されています。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)とは
大腿前部にある筋肉で、全身の筋肉の中で最も大きく強い筋肉といわれています。
大腿四頭筋は「大腿直筋(だいたいちょっきん)」「外側広筋(がいそくこうきん)」「内側広筋(ないそくこうきん)」「中間広筋(ちゅうかんこうきん)」の四つから構成されており、下肢の伸展や股関節の屈曲動作など様々な動作と密接な関係のある筋肉です。
そして比較的鍛え易い筋肉ともいわれています。
直ぐに始められる下半身トレーニング法
大腿四頭筋を鍛えるのに最も効果的といわれているのがスクワットです。自宅でも会社でも、ちょっとした空き時間にスクワットをするだけで効果は得られます。
他にもランニングやスキー・スノボなども下半身強化に効果があります。
また、単純に歩く距離を増やしたり、階段の上り下りをするのも良い下半身のトレーニングになります。ポイントとしては足を普段より高く上げて歩くこと。
手軽なので今からでも直ぐに始められる筋トレですね。
プロゴルファーの筋トレ方法とは
プロのスポーツ選手は専属トレーナーなど、プロフェッショナル管理のもとでトレーニングを行っています。
過剰なトレーニングや自己流のトレーニングで体作りに失敗し、選手生命を終える……などという事も珍しくない世界なのですから。
そのような事情の中で、プロゴルファーのトレーニング方法は他のスポーツ選手たちと一線を画しているものだと思ってください。
「限界まで体を追い詰めて、強靭な肉体を作る」のではなく、あくまで「必要な部分に必要なだけの筋肉を付ける」ことが目的なのです。
行き過ぎた大胸筋や上腕二頭筋などはスイングの邪魔になるとすらいわれており、中には「筋トレは一切しない」というプロゴルファーもいるくらいです。
プロゴルファーの筋トレメニュー、一例
- ベンチプレス
- スクワット
- チンニング(懸垂)
- カーフレイズ
- プランク
プロがこなす筋トレ+α
プロのスポーツ選手は筋トレの他に体幹トレーニングやストレッチなどにも積極的に取り組んでいます。
特に筋トレ後のストレッチは大切なトレーニングのひとつ。
筋トレ後の筋繊維の炎症や溜まった乳酸などを分解し、パフォーマンスを維持する事が出来るからです。
パフォーマンスを向上させる体幹トレーニング
ゴルフのパフォーマンスを向上させるためにはさまざまな方法があります。上記で説明した筋トレの他にも打ちっぱなしに通う、スイング練習をするなどそれぞれの方法にメリットがあります。
その中で最近注目されていてアスリートも取り入れている方法が「体幹を鍛える」ことです。体幹は内蔵を囲んでいる辺りにある筋肉のことで「横隔膜」「多裂筋」「腹横筋」「骨盤底筋群」のことを指します。
外から見える筋肉ではないので意識しにくく、どのようにトレーニングしていけばよいのか分かりにくいところがあります。呼吸や正しい姿勢を保つなど体幹は基本的な動作においても非常に大切です。