握力といえば体力測定でも項目があり、その数値が高いことは力があることの象徴としてもてはやされます。
とはいえ、見た目にはなかなか分からない部分ですから、そこまで意識されない現実があります。
握力を鍛えるためにどんなトレーニングに取り組んだらよいか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回紹介するのは、握力を鍛えるための「パワーボール」というトレーニング器具です。
いったいどんな器具なのか解説するとともに、おすすめ商品を紹介します。
パワーボールとは
遠心力を利用
パワーボールは野球ボールほどの大きさです。
ボールの中にさらにボールがある構造になっており、内部のボールはローターと呼ばれます。
ローターの内部には金属の軸が通っており、それを中心にローターが回転します。
ローターが回転するときに発生する遠心力により、パワーボールを握っているだけで負荷がかかるという仕組みにもなっています。
かつてはローターに糸を通して巻きつけたあとに、ぐっと引っ張るタイプが主流でした。
最近では、ローターを軽く回してやるだけであとはどんどん加速していく、オートスタートタイプのものも増えています。
長く回すにはコツも必要
回転を始めたパワーボールは、ただ握っているだけではすぐに止まってしまいます。
パワーボールの回転に合わせて手首を動かすことで、回転の勢いを持続させることができます。
トレーニング器具ではありますが、少しでも長く回転を維持させる動作には意外な中毒性があり、使い始めたらやめられないという方もたくさんいます。
RPM SPORTS社の登録商標
なお、パワーボールはRPM SPORTS社の登録商標です。
他社の類似商品は、厳密にはパワーボールと呼ぶことはできません。
ただ、一般には他社製品も含めてパワーボールと認識されているのが現状です。
食品用ラップフィルムを、なんでも「サランラップ」と呼ぶのと似たようなものです。
握力の基礎知識
握力には、大きく分けて4つの働きがあります。
- クラッシュ
- ピンチ
- ホールド
- オープン
クラッシュ
クラッシュとは、ものを握りつぶす力のことです。
握力が強いことを示すために、りんごを握りつぶすシーンを見かけることがありますが、まさにこれがクラッシュ力です。
握力計で測定するのは、このクラッシュ力ですね。
もちろんつぶすだけではなく、手全体でものを握る動作もクラッシュの一つです。
ピンチ
ピンチとは、ものをつまむ力のことです。
指先で物を掴んだり、保持したりする力で、日常生活でも案外必要とする動作です。
ホールド
ホールドとは、握ったものをそのまま支え続ける力のことです。
重たい買い物袋をぶら下げ続ける動作もホールド力ですから、人によっては必須度の高い力かもしれません。
オープン
オープンとは、親指と他の指がくっつかない状態でものを握る動作のことです。
少し大きめのものを握ったり、ビンの蓋やダイヤル状のものを回したりする動作がこれにあたります。
握力はトレーニングとしては地味かもしれません。
しかし、日常のちょっとした行動で役に立つ場面も多く、周りの人にとても頼りになる印象を与えることができる能力と言えるでしょう。
ハンドグリッパーとの違いは?
握力を鍛える器具というと、おそらくほとんどの人が最初に思い浮かべるのが、「ハンドグリッパー」でしょう。
ハンドグリッパーを握って、閉じたり開いたりすることで握力を鍛える、古典的ながら効果的な方法です。
ハンドグリッパーで鍛えられるのは、主にクラッシュの力です。
一方、パワーボールでは握力だけではなく、手首、前腕の筋肉も同時に鍛えることができます。
ハンドグリッパーは一定方向への動きだけであるのに対し、パワーボールは360度手首を回転させますので、よりバランス良く筋肉を鍛えることができます。