トレーニングベンチを選ぶときの心構え
技術の進歩によって近年トレーニングベンチは、様々な目的や用途に特化したものが誕生しました。
多様化は望ましい一方で、逆にトレーニングベンチをこれから使おうとする人々は自分に合ったトレーニングベンチを探すことが難しくなったともいえます。
例えば、本来の目的とは違ったものを購入してしまった人や、本来はもっと安く買えたのに高値で買ってしまった人というのも出てきているでしょう。
今回はそういったことがないように、これからトレーニングベンチを購入しようとする人に向けてトレーニングベンチを購入する際に押さえておきたいポイントをまとめてみました。
是非トレーニングベンチ購入の参考にして頂ければと思います。
トレーニングベンチの選び方
トレーニングベンチを選ぶときのポイントの主なものには、以下の5つがあります。
- 耐荷重量
- シート幅
- シートの角度調整が可能かどうか
- 折り畳みが可能かどうか
- 種類
以下に、各項目の説明をします。
(1)耐荷重量
耐荷重量の標準値は200kgです。その意味は、使用時にトレーニングベンチにかかる総荷重、すなわち重りと使用者の体重の和がそれ以下の重さでなければならないということです。
具体例を示します。
例えば、耐荷重量200kgのトレーニングベンチを体重60kgの人が重さ2kgのダンベルを両手で持ってトレーニングをする場合、重りの総重量は2kg×2個=4kg、また使用者の体重は60kgなので、トレーニングベンチにかかる総重量は60+4=64kgです。
この環境下では、使用するトレーニングベンチの耐荷重量の条件は、200kg>64kgと満たされるので、このトレーニングベンチは使用可能であると判断できます。
(2)シート幅
シート幅が狭すぎると、背中を預けたときに使用者はトレーニングベンチに不安定さを感じます。
一方、逆に広すぎると使用者にはトレーニング時に肩の可動域を邪魔される感覚があります。
シート幅の目安は24~26cmです。
(3)シートの角度調整が可能かどうか
トレーニングベンチには、角度調節が可能なタイプと角度調節が不可能なタイプとがあります。以下に例を挙げます。
角度調節機能がついていないもの
・フラットベンチ
角度調節機能がついているもの
・インクラインベンチ、デクラインベンチ
フラットベンチは構造がシンプルで、通常の価格が1万円前後と安いのが特徴です。
角度調節ができるタイプとできないタイプとでは、取り組める種目が違います。
後になって後悔しないためにも、
(1)自分がどの部位を鍛えたいのか
(2)そのためには必要なトレーニングは何か
を理解した上で、目的と用途に合ったトレーニングベンチを選ぶようにしたいものです。
(4)折り畳みが可能かどうか
折り畳めるタイプのメリットで、主なものには次の2つがあります。
A.自分の好きな場所に持って行ってトレーニングができる。
B.使わないときにはすっきりと収納できる。
折り畳めるからといって、トレーニングベンチ自体の強度が折り畳めないタイプの強度より弱いということはありません。自分のライフスタイルに合わせて選択しましょう。
(5)種類
以下に、トレーニングベンチの主な種類とその用途をまとめました。
(5)-1.フラットベンチ
ベンチの角度調節機能がついていない水平なトレーニングベンチです。価格が安く、いろいろな場所で「初心者にオススメ!」と紹介されているのを見かけます。
一方、利用者が初心者の場合、使用者がその使い方を十分に理解していないために、トレーニングベンチとしての能力を十分に活かせていないことがあるようです。
(5)-2.インクライン・デクラインベンチ
インクラインベンチとデクラインベンチは、どちらも角度調節ができるトレーニングベンチです。どちらも背もたれのある椅子のような形をしています。
インクラインベンチとデクラインベンチの大きな違いは、使用者が座ったときの姿勢です。
また、行える種目も違います。
例えば、同じ大胸筋を鍛えるベンチプレスにしても、以下のような違いがあります。
- 大胸筋の上部を鍛えるにはインクラインベンチが適している。
- 大胸筋の下部を鍛えるにはデクラインベンチが適している。
普通、人は購入に支払った対価に見合った、またそれ以上の結果を出したいと思って商品を購入しているものです。
ただ、初心者に起こりがちな問題として、このような基本的な違いを知らないまま購入し、いくらトレーニングを続けても思った通りの結果が得られないということに悩んでいるケースが見受けられます。
以下に、インクラインベンチとデクラインベンチの違いをまとめました。
(5)-2-1.インクラインベンチ
ベンチに座ったときに頭が上になるのがインクラインベンチです。インクラインベンチを使ってできる代表的な種目には、大胸筋の「上部」を鍛えるインクライン・ベンチプレスがあります。
(5)-2-2.デクラインベンチ
ベンチに座ったときに頭が下になるのがデクラインベンチです。デクラインベンチを使ってできる代表的な種目には、大胸筋の「下部」を鍛えるデクライン・ベンチプレスがあります。また、インクラインベンチに比べて足が上に上がるので、角度をつけた負荷のより高い腹筋トレーニングが可能です。
これらの角度調節が可能なタイプのベンチは、あまり価格の安いものだと、トレーニング中にバランスが不安定になることがあります。そのようなことにならないために、購入する際の価格は1万数千円以上を目安にします。