ローイング(ボートを漕ぐ)運動をマシン上でおこなえるようにしたものが、ローイングマシンです。マシンを使ったトレーニングといえば、トレッドミル(ランニングマシーン)やエアロバイク、大胸筋を鍛えるペックデッキフライなどを思い浮かべるかもしれません。
特定の筋肉を集中的に鍛えるには、それぞれの部位に特化したマシンが有効ですが、バランス良く全身をトレーニングしたいなら、ローイングがオススメです。
全身の筋肉に効果!
ローイングマシンで行う『漕ぐ』動作は、胸筋・腹筋といった上半身前面の筋肉だけでなく、広背筋・僧帽筋・三角筋といった、上半身背面の筋肉や、大腿筋・大臀筋・ハムストリングスといった下半身の筋肉まで、全身の筋肉をほぼまんべんなく利用することになります。
また、トレーニング動作の性質上、体全体の筋肉に、同じ負荷を、同時にかけていくことになるため、利き手側や特定の筋肉の部位に偏ることのないトレーニングを行うことができます。
有酸素運動にも有効! 忙しい現代人に最適なローイングマシン
ローイングマシンは、負荷のかけ方によって、筋トレにも有酸素運動にも利用できます。体全体の筋肉を鍛えることができ、有酸素運動も可能なマシンローイングは、忙しい現代人に最適なトレーニングといえます。
マシンローイングには公式大会がある!
ローイングマシンで行うマシンローイングには、公益社団法人日本ボート協会が主催する全国マシンローイング大会という大会があります。9歳以下は500m、12歳以下は1000m、13歳以上からは2000mの距離を競う大会です。
大会のランキングは、日本ボート協会が出版するボート誌、『Rowing』と、協会HP上で発表され、種目別・総合の上位者は表彰されます。また、現在、日本ボート協会は、2020年の東京オリンピックで活躍するボート競技選手の募集・発掘を目的に、マシンローイング大会のオプション種目としてトライアウトを行っています。
東京オリンピックの舞台に立てるチャンスかもしれません。
ローイングマシン 正しい使い方
どんなトレーニングマシンも、正しい使い方をしなければ効果は半減……どころか、体を痛めたりすることで、効果がマイナスになることすらありえます。正しいトレーニング方法をしっかりと学び、最大の効果を得ましょう。
負荷を上げすぎない
トレーニング効果を早く得ようと、はじめから高い負荷でトレーニングをしてしまう方がいらっしゃいますが、これではすぐに疲れが出てしまい、効果も見込めません。低い負荷でウォーミングアップをしてから、徐々に負荷を上げていきましょう。
姿勢良く
背中が丸まっていると、ローイングマシンのトレーニング効果を上手く得ることができず、腰や背中にかかるべきでない負荷がかかってしまい、ケガの原因にもなります。ローイングの際は、気持ち背中を反らせるような気持ちで、胸を張り、背筋をまっすぐに伸ばして行いましょう。
全身を使ってローイング
ローイングは全身運動ですので、腕だけで引っ張っているとしたら間違いです。体幹をしっかりと引き締め、体幹で2割、腕で2割、脚で6割くらいの比率を意識してローイングを行います。
負荷を感じながら漕ぐ
反動をつけて勢い良く引っ張るようなやり方でトレーニングを行うと、無理矢理腕の力だけで引っ張るようなかたちになってしまい、筋肉を傷める可能性があります。
全身を使って、負荷を感じながら、漕ぐことに集中しましょう。
正しいローイングの順番で
ローイングには正しいフォームと順番があります。次の項目で、そのかたちを説明していきましょう。
ローイングの正しいフォームと順番
- 脚をまっすぐにし、上半身は少し後ろに傾いた状態にします。腕は胸の少し下あたりで曲げ、ハンドルが体につくようにしましょう。(フィニッシュ)
- 腕を伸ばし、上半身も前に動かしていきます。腕が膝の前に出るところまで伸ばしてください。脚は曲げず、伸ばしたままです。(リカバリー)
- 上半身と腕の位置をキープしたまま、膝をまげて、お尻(シート)を前にスライドさせます。(スライド)
- スライドの姿勢を維持したまま、スネの部分が完全に垂直になるところまで前に体を引き寄せます。(キャッチ)
- 上半身はそのままキープし、脚だけを伸ばします。膝が伸びてまっすぐになってきたら、今度は上半身を垂直位置まで起こします。(ドライブ)
- フィニッシュに戻ります。この一連の動作を繰り返していきます。