最近では、素材も色づけ方法もさまざまな種類の剣道着が販売されています。どれをどのようにして選べばよいか分からないひともいることでしょう。今回は、さまざまな種類がある剣道着の中から試合にふさわしい剣道着の種類やシーン別の選び方や相場について詳しくご紹介します。
剣道着の素材と特徴
こちらでは、自分に最適の剣道着を選ぶために、剣道着に用いられている素材とその特徴について確認しておくべきポイントをご紹介します。
「綿」素材
昔から剣道着として親しまれてきた素材です。肌触りがよく、保湿性、吸湿性、耐久性に優れており、オールシーズン使用することができるのが特徴になります。
短所としては、着心地が重く、洗濯の後に乾きにくい点があげられます。
「ポリエステル」素材
各ブランドによって開発された新素材が用いられた剣道着もさまざまな種類が販売されています。特徴は、色落ちや型崩れ、縮みがほとんどなく、軽い着心地と通気性や速乾性に優れている点です。手入れも簡単でスポーツウェア同様に洗濯機で洗剤を用いて洗濯することができます。
短所は、保温性や吸湿性、耐久性が「綿」素材よりも劣っている点です。
藍染
剣道着の伝統的な染め方には、藍を用いた正藍染や武州正藍染などがあります。鮮やかで深みのある紺色は、藍染製品ならではの独特の風合いです。
藍には、殺菌効果や消臭効果がありますが、色落ちしやすく手入れに手間がかかるという短所もあります。鮮やかな紺色を維持するためには、洗濯する際に手洗いで水洗いして日陰干しする必要があります。
化学染料
試合や審査には藍染が正装として望ましいと言われていますが、藍自体が肌に合わない人もいます。敏感肌や藍が肌に合わない人は、化学染料で染めた製品を選ぶのも1つの方法です。
化学染料で染めた剣道着の特徴は、色落ちが少ないことや洗濯機でも洗濯が可能な点などです。
剣道の試合にふさわしい剣道着
試合は日ごろの稽古の成果を披露する晴れの舞台です。そのため、日ごろの稽古とは違った意気込みやモチベーションを高めるためにも、正装で挑むことが大切になります。
剣道着の種類に関する規定などは明確にされていなくても、試合や審査用に1着は「綿」素材の藍染の剣道着を袴と合せて準備しておくことをおすすめします。
シーン別の選び方
剣道着は「素材、染め方、厚み、仕立て」の4つのポイントで選び方が異なります。こちらでは、シーン別に応じた剣道着の適切な選び方についてご紹介しますので迷いや悩みのある方は、選ぶ際の参考にしてください。
日常の稽古(オールシーズン)
年間を通じた稽古で使用する場合は「綿」素材の一重(裏地の無いもの)剣道着がよいでしょう。稽古が頻回にある場合では、手入れが簡単で速乾性のある「ポリエステル」素材の一重剣道着がおすすめです。
夏場の稽古や合宿
洗濯機でも洗うことができ、「綿」素材よりも乾きやすい「ポリエステル」素材の一重剣道着がおすすめです。洗濯しても色落ちがなく、縮みや型崩れがないので取扱いやすく「ジャージ剣道着」とも呼ばれています。
更に通気性が高く、速乾性の高いものを選びたい人は「メッシュ」素材の製品がおすすめです。
冬場の稽古
気温が低い中での稽古になるため、保温性の高い「綿」素材の二重剣道着がおすすめです。
試合・昇段試験
素材は、できる限り「ポリエステル」素材(ジャージ)ではないものを選びましょう。ポリエステル素材の剣道着は、剣道の歴史ではごく最近開発されたものです。
そのため、審査や試合などに用いる剣道着は歴史の中でも長く用いられてきた素材で見栄えのする「綿」素材が望ましいと言われています。1つの作法や礼儀としての意味もあるようです。
見栄えのある立ち姿を印象づけることのできる質感のあるものを選ぶようにしましょう。
「綿」素材でしっかりとした厚みがある二重剣道着がおすすめです。染め方の種類は、可能であれば化学染料ではなく正藍染や武州正藍染の製品を選ぶとよりワンランクアップした印象になります。
贈り物
お世話になっている先生方などへの贈り物を選ぶときには「最高級の仕上がり」とされるものを選ぶのがポイントになります。
具体的には、「綿」素材で二重剣道着であるものです。染め方の種類は、可能であれば武州正藍染の製品が望ましいでしょう。仕立ても背継(せつぎ)や腰継(こしつぎ)などがしっかりしているものがおすすめです。