メジャーな陸上スポーツと比べ、なかなか興味を持ってもらえないという印象もある競歩ですが、近年日本人競歩選手の活躍により注目が集まってきています。
男子20km競歩の世界記録保持者である雄介選手をはじめ、リオデジャネイロオリンピック男子50km競歩で日本競歩界史上初のメダル(銅メダル)を獲得した荒井広宙選手や男子20キロ競歩で7位入賞した松永大介選手など、世界の第一線で活躍している選手も増えてきました。
日本にとってメダルを狙える競技になりつつある中で、オリンピックでの男子50km競歩が競技から廃止されるという話も聞こえてきていました。
ここでは2020年東京オリンピックでメダルを狙う選手が誰なのか、また50km競歩の除外問題について、徹底検証していきます。
競技ルールの難しい競歩
競歩という名前のスポーツは知っているけど、ちゃんとしたルールはよく分からない……という人も多いのではないでしょうか。
実は競歩には厳密な競技ルールがあり、それを逸脱してしまうとレース途中やゴール後であっても失格になってしまいます。
ロスオブコンタクト
常にどちらかの足が地面に接していること(両方の足が地面から離れると、ロス・オブ・コンタクトという反則をとられる。以前はリフティングという名称だった)。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B6%E6%AD%A9
左右どちらかの足が必ず地面と接していなければならないというルールで、ランニングのように両足が地面から離れれば注意を受けてしまいます。
ご存知の方も多く、競歩のルールの中では比較的良く知られているものといえるでしょう。
ベントニー
前脚は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすこと(曲がるとベント・ニーという反則をとられる)。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B6%E6%AD%A9
進行方向に出した足が地面についた瞬間から、地面と垂直になるまでは膝を伸ばした状態にしなければなりません。
垂直になる前に曲げてしまうと、走っていると判断され注意を受けます。
なかなか難しいですね……。
判定が厳しい競歩というスポーツ
レース中は常に6〜9人の審判員が担当の地区で反則行為がないかを厳しくチェックしています。選手が違反をしたと感じた場合はすぐさま違反マークが書かれた黄色のパドルを選手に示して注意します。
それでも直らなかった場合は、赤色のパドルである警告カードが出され、合計で3枚出されると失格になってしまします。サッカーなどのレッドカードシステムなどと似ていますね。
しかし、レース終盤の迫合いなどでよくみられるのですが選手間の妨害行為があったと判断された場合は、主任審判から赤いパドルが出され一発失格になることもあります。
たとえ故意ではなくとも審判にそう判定されてしまったらお終いです。
実際に過去のリオデジャネイロオリンピック男子50kmオリンピックで銅メダルを獲得した荒井広宙選手は、レース終盤で妨害行為をしたとして一時失格とされていたという事実もあります。
この時は運よく日本側の抗議で一転して失格取り消しになりましたが、いつこのようなことが起こってもおかしくない、かなり厳しいルールが設けられています。
男子50km競歩除外問題は解決した!?
冒頭でも述べた男子50㎞競歩除外の問題は結局どうなったのでしょうか。その行方の前に、2020東京オリンピックで実施される競歩競技を確認しておきましょう。
オリンピックの競歩競技
現在オリンピックでは、男子20km競歩・男子50km競歩・女子20km競歩の計3種目が実施されています。2020東京五輪でもこの点に今のところ変更はないようです。
女子の50km競歩はもともと実施されていません。その理由としては、競技の過酷さや体力面での危険性が上げられているようです。オリンピック以外でも同様の理由から50km競歩を除外している大会も多い傾向にあるようです。
男子50㎞競歩除外問題はどうして起こった?
上でも少し触れましたが、オリンピックにおいて女子ではもともと50㎞競技が設定されていません。オリンピック以外の大会などでは競技自体は実施されることもありますが、国際陸上競技連盟は女子の50㎞競技の記録を世界記録としては公認していません。
男女平等の理念にそぐわないとして除外候補に
ではなぜ男子のみ行われてきたのでしょうか。この問いの最もわかりやすい回答は男子と女子のフィジカルの差、これに尽きるでしょう。
ですがこれが国際オリンピック委員会、IOCの男女平等の理念にそぐわないと問題視されることになったのです。もともとIOCは男女同じ種目数の実施を推進していたことも関係しているのでしょう。
確かに競歩は歩いているとはいえマラソンに勝るとも劣らないハードな競技です。マラソンの42.195㎞を超える50㎞の競歩はたとえ男子といえども、かなり過酷な競技であることは容易に想像できます。
そのため一時は2020東京五輪においても除外競技候補として名前が挙がっていました。
署名活動で除外回避へ
ですが日本勢の得意種目である50km競歩競技。
地元開催の五輪で行われずにどうすると立ち上がったのが2016年リオオリンピックで銅メダルを獲得した荒井宇宙選手を始め、多くのアスリートや企業からの署名が集まり、結果的に2020東京五輪での50km競歩存続が決定しました。
最終的には2020東京オリンピックを最後に姿を消すことに
ですが残念なことに、2020東京五輪がオリンピックにおいての最後の男子50㎞の競歩競技実施となることが2019年の3月、国際陸連から発表されました。
歴史ある競技がまた五輪から姿を消すことになります。最後の実施となる2020東京五輪では日本人選手に見事メダルを獲得してもらい、五輪最後の50㎞競歩競技に華を添えて欲しいですね!
では、ここからは2020東京オリンピックへの出所が期待される注目選手をご紹介します。
男子20km競歩注目選手:髙橋英輝(富士通)
【電子号外】「高橋4連覇 競歩日本選手権・男子20キロ」(2018年2月18日)◆電子号外は、岩手日日ホームページのメニュー「いわにちコレクション」でご覧いただけます→ https://t.co/TudegQJKlM #岩手 #花巻市 #花巻北高 #岩手大 #富士通 #陸上 #競歩 #高橋英輝 pic.twitter.com/qNO3XIGote
— 岩手日日デジタルコンテンツ室 (@IwanichiMmk) February 18, 2018
日本選手権にて5連覇中も高橋選手。もはや国内では向かうところ敵なしといった風情です。
ラストスパートかけるのが上手い
高橋選手は、最後の数百メートルでの追い込みをかけるのが得意な選手です。