低酸素トレーニングは心肺機能を向上させる効果があるトレーニングです。
酸素濃度の薄い高地でのトレーニングと同様の環境を作り出し、トレーニング効果を上げて持久力アップを図ります。
低酸素トレーニングの正しく安全なやり方や自宅でも実践できる低酸素マスクを使用したトレーニングを紹介します。
また効果を高めるコツや注意すべきポイントも見ていきましょう。
低酸素トレーニングとは?メリット・デメリットを知ろう
まずは低酸素トレーニングとはどのようなものなのかを見ていきましょう。
また、メリットやデメリットについても紹介します。
低酸素トレーニングとは
低酸素トレーニングは標高の高い場所に似た酸素環境を作り出し、体に取り込む酸素の量を少なくするトレーニングです。
スポーツ選手が行う「高地トレーニング」を擬似的に行うことで、心肺機能を高める効果があります。
低酸素トレーニングで酸素を取り込む量を増やす
オリンピックや大きな大会の前になると標高2000m以上の高地でトレーニングするトップアスリートは多いです。
このような高地の気圧は地上の7割から8割程度しかないため、体に取り込める酸素の量も減ってしまいます。
取り込める酸素の量を増やすため、体は酸素と結合する働きをもつヘモグロビンの量を増やします。
低酸素トレーニングでエネルギーを生み出す能力を向上させる
血中のヘモグロビンの量が増えると、それにともなって細胞内のミトコンドリアの量も増えていきます。
ミトコンドリアはエネルギーを生み出す器官なので、酸素を取り入れる能力に加えエネルギーを生み出す能力も向上します。
酸素の供給量を器具などを使って減らし、擬似的に高地と同じ酸素環境を作り出すのが低酸素トレーニングです。
低酸素トレーニングはトレーニング効果が高い
低酸素トレーニングはトレーニング効果が高くなるというメリットがあります。
通常よりも遅いスピードで走っても、通常のスピードで走るよりも高いトレーニング効果を得られるのが特徴です。
また、筋肉は酸欠状態になった方がより肥大するため、通常よりも高い筋肥大効果が得られます。
低酸素トレーニングは低酸素の環境にする設備が必要
低酸素トレーニングは高地トレーニングと違い、気圧の変化がありません。
そのため高山病になったり息苦しくなったりすることがないのがメリットです。
ただし低酸素の環境にするためには、低酸素室などの設備が必要になります。
設備や準備もなくどこでもできるトレーニングというわけではありません。
低酸素トレーニングはこんな人におすすめ!
低酸素トレーニングは一般的にマラソンランナーなどの長距離走を行うアスリート向けだと思われています。
実際にはランナーだけではなく、さまざまな競技のアスリートや健康維持目的の人にもおすすめです。
持久力や心肺機能を高めたい
低酸素トレーニングは持久力や心肺機能を高めたい人には特におすすめです。
マラソンランナーはもちろんですが、サッカー・バスケ・テニスなどの球技にも効果が高いことがわかっています。
また、水泳選手などプールで行う競技でも心肺機能アップは非常に重要です。
ダイエットしたい
低酸素トレーニングでミトコンドリアが増加すると、脂肪の燃焼効果も高まります。
さらに通常の環境よりも糖代謝も高まるため、ダイエットしたい方にもおすすめです。
筋トレの効果も高まるので全身の筋肉量も増え、基礎代謝量がアップして痩せやすい体になります。
低酸素トレーニングによって食欲を増進させるホルモンの分泌が減るため、食欲が抑えられることもわかっています。
生活習慣病を予防したい
低酸素トレーニングは生活習慣病の予防にもなるため、運動不足の人にもおすすめです。
運動自体が生活習慣病予防ですが、低酸素の環境下では血管が柔らかくなり拡張されるため血圧が下がります。
脂肪の燃焼効果が高まるため、血中の中性脂肪やコレステロール値を下げる効果があります。
短時間でも効果の高いトレーニングをしたい
アスリートだけでなく、一般の方の健康維持にも低酸素トレーニングは最適です。
特に短時間でも効果の高いトレーニングをしたいという人はぜひやってみましょう。
30分間のウォーキングでも、通常の環境で2時間ウォーキングを行ったのと同様の効果を得ることができます。
低酸素トレーニングは自宅でもできる?正しい方法を知ろう
低酸素トレーニングはメリットが多いですが、自宅でも行えるのでしょうか?
低酸素トレーニングを行うことができる場所や環境、正しい方法を知りましょう。
低酸素室のある施設で行う
低酸素トレーニングは、低酸素室のある施設で行います。
一般のトレーニングジムで低酸素室を備えているところがあるので探してみるとよいでしょう。
ただし、全てトレーニングジムに低酸素室があるわけではありません。
低酸素トレーニング専用のジムも増えており、人気が高まっています。
ランニングマシーンだけでなく、ヨガ室や低酸素環境下のプールなど、さまざまな施設が増えています。
自宅で行うなら低酸素マスクを使用する
低酸素トレーニングのデメリットは自宅で行えないという点ですが、これを補うためのアイテムが「低酸素マスク」です。
これは低酸素トレーニングを行うためのスポーツ用マスクで、ダイヤルを回して酸素を吸入量を調節できます。