胸鎖乳突筋とは?
胸鎖乳突筋とは、鎖骨と耳の後ろ辺りにある頭蓋骨の乳様突起を繋ぐ、左右対になっている筋肉です。側頸部の浅層を斜めに走っています。
顔を左右に向けた時に、その反対側にある胸鎖乳突筋を頸部の皮膚の上から触れられます。首を回すときに胸鎖乳突筋を触れていると、その収縮がよく分かるでしょう。
顔を横に向けると浮き出てくるので、外見からも確認することが出来ます。
胸鎖乳突筋の働き
胸鎖乳突筋の両側が作用すると頭を前に突き出したり、頸部を屈曲出来ます。
また、片側が作用すると首を横に回したり、横に傾けられます。
この時、首を右に曲げる場合は右側の胸鎖乳突筋が作用しますが、首を右方向へ回す場合は左側の胸鎖乳突筋が作用するといったように、反対側の筋肉が働きます。
首の曲げ伸ばしに大きく関わっている胸鎖乳突筋ですが、この筋肉は頸椎の横に位置するため、正面方向への屈曲よりも斜め下を向く動作に貢献しています。
胸鎖乳突筋はこれらの運動以外にも、頭部を安定させる働きもあります。
胸鎖乳突筋と関わる自律神経とは?
胸鎖乳突筋と関わる自律神経とは、血管と内臓の運動、内臓の知覚及び分泌をつかさどる神経のことを言います。
おおまかにいうと、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために24時間働き続けている神経です。
更に、自律神経は身体を活動的な状態にする交感神経と身体を休める状態にする副交感神経という拮抗する2つの神経系に分けられます。
交感神経と副交感神経は交互に働いています。いずれかが優位の状態では、もう一方は休んでいるといった仕組みです。
どちらが優位であるかによって身体の状態は大きく異なります。詳しく見てみましょう。
交感神経優位の場合
交感神経が優位になると、筋肉が緊張して固くなり、血管は細くなります。
血管が細くなると先をつまんだホースのように勢いよく血液が流れるようになるので栄養や酸素を素早く補給出来るようになります。
副交感神経優位の場合
副交感神経が優位になると、筋肉の緊張がほぐれて柔らかくなり、血管は広がります。
そうすると、血液が流れやすくなり血圧が下がって安定します。
身体を休める時に働く神経ですので、血液をゆっくりと流し、栄養や酸素を全身に届けて回復することが出来るのです。
大事なのはバランス
疲労回復に優れている副交感神経が優位になっている方が体にとって良いように思えますが、大切なのは双方がバランス良く働くことです。
これら2つのバランスを損なってしまうと身体に様々な不調をもたらします。
自律神経失調症とは?
ストレスを感じている時は交感神経が優位な状態で、末梢血管や筋肉が収縮し、血液やリンパ液の流れが悪くなります。
そうなると栄養や酸素が全身に行き届かず老廃物も排出されないため、身体の回復が進まずに新陳代謝も低下します。
結果的に心や身体に不調が現われます。こうした状態を自律神経失調症と言います。
自律神経失調症の症状と改善方法
自律神経失調症の主な症状は次の通りです。
- めまい・頭痛・耳鳴り
- 眼精疲労
- イライラ感・集中力の低下
- 不眠・倦怠感・憂鬱感
- 口の渇き・喉の異物感
- 動機・息切れ
- 手足のしびれ
- 肩や首のコリ
自律神経失調症で交感神経が活発になると常に筋肉が緊張した状態になります。
筋肉は緊張すると疲労してしまい、更に自律神経失調症の症状は悪化してしまいます。