生き物の体内では、たくさんのアミノ酸が働いています。
アミノ酸と一口に言っても、その効果や働きはさまざま。
今回はそのうち、「チロシン」について紹介します。
チロシンとはどんなアミノ酸か、効果や副作用などについてまとめました。
チロシンとは
非必須アミノ酸のひとつ
体をつくる栄養素として有名なタンパク質。
そのタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
そのアミノ酸のうち、体内で十分な量をつくることができるものを「非必須アミノ酸」、体内で十分な量を合成することができないアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。
チロシンは非必須アミノ酸に分類されますので、必ずしも摂取しなければいけないアミノ酸というわけではありません。
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チロシンが多く含まれる食品
チロシンは、大豆たんぱくや小麦タンパクに多く含まれています。
牛乳の成分のひとつである「カゼイン」や、チーズにも多く含まれます。
そもそも、チロシンという名前はギリシャ語のチーズから取られているのです。
魚介類では、いわしやかつお節などにもそれなりに含まれています。
チロシンはフェニルアラニンから合成
脳神経を司る重要なアミノ酸
チロシンが非必須アミノ酸であることはお話しましたが、これは必須アミノ酸である「フェニルアラニン」から合成されるためです。
フェニルアラニンからチロシンが合成され、それが「レボドパ」になります。
レボドバが「ドーパミン」となり、そこから「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」が生成されます。
この3つはいずれも、脳神経を司る重要な物質です。
ですから、その前駆体(元になる物質)であるチロシンは、感情のコントロールにおいて重要な役割を果たしているのです。
特に、集中力の向上に効果があるとされることが多いアミノ酸です。
なお、うつに効くとするものもありますが、軽症のうつ病に対しては効果がないことが示唆されているため、留意が必要です。
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準必須アミノ酸とする場合も
チロシンは大人であればフェニルアラニンから十分な量を合成することができますが、乳幼児期には不足することもあります。
そのため、「準必須アミノ酸」と位置づけられることがあります。
甲状腺ホルモンのもと
甲状腺ホルモンとは
チロシンは、ドーパミンなどのほか、甲状腺ホルモンの形成にも関与しています。
甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺は、首の前方あたりに存在します。
甲状腺ホルモンは、体内の全細胞に対して働きかける、いわば司令塔とでも言うべきホルモンです。