トレーニング中やスポーツ競技で、パワーポジションという言葉をよく耳にします。実際パワーポジションの指導を受けたことがある方もいるでしょう。
反面で、すべての人が正しいパワーポジションを身につけられているかというと、そうではありません。本当に適したパワーポジションを身につけるには、基本姿勢や競技特性をしっかり理解しなくてはなりません。
今回はパワーポジションの基本姿勢を解説した上で、よりスポーツやトレーニングに活かせる姿勢を徹底解説していきます。
パワーポジションとは?
パワーポジションとは、素早い動作を行うための動きやすい構えや力の入りやすい準備姿勢のことです。パワーポジションは正しいスクワットフォームとして紹介されることもあります。
厳密にいうと競技によってはパワーポジション≠スクワットです。しかしパワーポジションの基本姿勢で注意したいポイントはスクワットと変わりません。そして基本姿勢を身につけるためにはスクワットフォームの習得は必須といっても過言ではありません。
まずはパワーポジションの基本姿勢を学び、そこから競技ごとに適したパワーポジションを習得しましょう。
パワーポジションの基本姿勢
ここではパワーポジションの基本姿勢を解説していきます。足幅・膝・重心、そして骨盤がポイントとなってきます。それぞれ細かく見ていきましょう。
足幅は肩幅よりやや広く開く
パワーポジションの基本姿勢では足は肩幅よりやや広めに開きます。つま先はやや外側に開きましょう。
つま先を真っ直ぐ前に向けるパワーポジションの作り方もありますが、基本姿勢では開いておきましょう。
膝はつま先と向きを揃えて屈曲
膝関節を軽く曲げていきます。角度は深すぎると左右動作の反応が落ちてしまいますので、120°程度が基本です。
内股になると膝がロックして可動域が狭まります。逆にガニ股になると下半身のパワーが上半身に伝わりにくくなりますので、膝の向きはつま先の向きと揃えましょう。
重心は真ん中より前方に
パワーポジションの重心は、真ん中よりやや前にしておきます。
膝がつま先を超えないことに重点を置いてしまうと、お尻を後ろに突き出す姿勢になりやすいです。するとバランスをとるために重心は踵側に移ります。
重心が後ろにあると動き始めに重心移動が必要になってしまいます。これでは動きのロスが生まれますので、パワーポジションでの重心はつま先寄りにのせておきましょう。
骨盤は軽く前傾させる
パワーポジションで基本とされるのは骨盤の軽度前傾です。
骨盤が後傾していると、背中が丸まってしまいます。背中が丸まると下半身の力を上手く全身に伝えられず、結果的に反応速度が遅くなってしまうのです。
逆に骨盤を前傾させすぎると、腰椎が必要以上に反ってしまい腰痛の原因になることがあります。骨盤はあくまでも軽度前傾で、背中をフラットに保てる角度を意識しましょう。
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体幹が崩れると正しく力が伝わらない
トレーニングや競技が激しくなっていくにつれ、体幹が崩れやすくなっていきます。体幹が崩れるとロスが生まれます。パワーポジションを正しく身につけられていれば、力がうまく伝わりパフォーマンス向上につながるでしょう。
逆に体幹が崩れたままでトレーニングを続けると、パフォーマンスが向上しないのと同時に怪我を引き起こしやすくなります。動きの中でも体幹が崩れないように、筋持久力を鍛えるメニューを加えましょう。
いつも基本姿勢が良いとは限らない
冒頭でも解説した通り、どんなシーンでもパワーポジションの基本姿勢が良いとは限りません。シーンや動きの内容によってパワーポジションは変化していくのです。
次は筋トレ時のパワーポジションについて見ていきましょう。
筋トレに適したパワーポジション
立位の筋トレではほとんどの場合、基本姿勢のパワーポジションが一番適しています。パワーポジションを正しく取り入れることで、さらに負荷をかけることが可能になります。
足を前後に開いた状態で力を入れるスプリット系メニューのパワーポジションでも意識するポイントは基本姿勢と変わりません。違うのは足が前後に開いているということだけです。
スプリット系メニューでは前に来ている方の足を基準に、トリプルエクステンションと骨盤の軽度前傾を意識しましょう。もちろん膝とつま先の向きは揃えます。
スポーツに適したパワーポジション
スポーツの場では、競技によってパワーポジションの形や求められるシーンが異なります。基本姿勢を理解した上で応用していきましょう。
いくつかのスポーツを例に、それぞれどのようなシーンでどのような形のパワーポジションを活用するかを解説していきます。
野球のパワーポジション
野球のパワーポジションはバッティングと守備で異なります。バッティングの際は比較的高めのパワーポジションが用いられ、守備では低めのパワーポジションを用います。
バッティングの場合、腰は少し落として、背筋と脛のラインが平行になるように上体をやや前傾します。そして全身の力を抜きリラックスしましょう。
内野手の場合、足幅は基本姿勢より広く腰は低く落とします。外野手の場合パワーポジションで待機しない選手も多いですが、活用する場合は高めのパワーポジションにしておくといいでしょう。
サッカーのパワーポジション
サッカーではディフェンスや切り返しの場面でパワーポジションが用いられます。また、ゴールキーパーは他の選手に比べて比較的パワーポジションをとる機会が多いでしょう。
基本的には高めのパワーポジションで、左右の動きに反応できるようにしておきます。ゴールキーパーは他のポジションよりも低く構えることで、遠くへのボールにも対応しやすくなるようです。
ラグビーのパワーポジション
ラグビーではディフェンス・切り返し・スクラム・密集でパワーポジションを使います。ラグビーは基本のパワーポジションから、相手やシーンに合わせて高さを変える必要があるでしょう。
バックスのディフェンスでは反応速度を意識したフォワードのディフェンスであれば高い姿勢は押し切られてしまいます。相手に合わせて高さを変えましょう。アタックの場合は切り返すならスピード重視の高い姿勢、ヒットするなら低い姿勢で強く構えます。
スクラムは反応速度よりもパワー重視で低い姿勢。密集でも基本的には低い姿勢ですが、相手が高い姿勢の場合はこちらも合わせてボールに絡みに行くことも大切です。
アメフトのパワーポジション
アメフトではカットバック・タックル・ブロックのプレーで特にパワーポジションが活用されます。