健康的で見栄えのよいプリ尻なボディは、良い姿勢・朗らかで溌剌とした人柄にも繋がり、周囲に明るさ活発さといったポジティブな印象を与えます。
しかし「言うは易く行うは難し」で、設定したゴールへたどり着くことは決して楽にできるわけではありません。
そこで当稿では、丸みを帯びたカーヴィーなヒップラインを作る最強の尻メソッドをご紹介し、今日から簡単にできる自重をメインにしたワークアウトについて徹底解説いたします。
レジスタンスチューブも上手に利用することで自重トレのバリエーションに繋がり、臀筋群に効かせるワンランク上を目指す至高のメニューを実践できるはずです。
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プリ尻とその仕組み
そもそも論ですがプリ尻とはどんなお尻のことでしょうか?
ワークアウトを始める前に「どんなお尻を目指したいのか?」というセルフ・イメージを高める意味で、プリ尻の意味について深く知っておくとよいでしょう。
メリハリ
プリ尻がどういうものか!正式に定義する根拠がないため、一般的な解釈としての意味を考えます。
一言でいえばお尻を形作る筋肉に程よい弾力と硬さがあり、曲線に加えボリュームのある美しさと必要に応じて緩まるメリハリを備えていることが、プリッとしたお尻の一般的なイメージではないでしょうか。
また隣り合う筋肉との関係でいえば下はハムストリング、上はウエストに連なる脊柱起立筋や腹斜筋等と接し、その見た目のバランスがメリハリにつながっていることは確実です。
こうした考えから臀筋群をメインにその周囲にもしっかりと刺激が伝わるメニュー選択が、ワンランク上のヒップ・メイキングを達成する秘訣といえるでしょう。
構造を知る
ワークアウトに入る前は是非、ターゲットの大まかな構造やその動きの特性を理解してみましょう。尻トレの効果もおのずと差がでてくるはずです。
お尻は三層構造から成る非常に大きな筋肉です。中でも曲線的なラインと大きさの程度に関わる大臀筋は、脚を後方に引く股関節伸展や真横に挙げる外転動作に大きく関わっています。
ラウンドシェイプのベースとなり、少し上のややサイドで大臀筋と同じように股関節側方挙上と片脚支持での安定性に寄与する中臀筋にも注目して下さい。
本来丸みを帯びた形が崩れ四角っぽくなる通称“ピーマン尻”と呼ばれるのは、この中臀筋および小臀筋の筋発揮能力低下が原因とされています。
立体的に鍛える
人の体や動きは立体空間で三次元的に捉えることが求められ、ボリューミーで曲線が際立つ美尻をゴールとするなら、ワークアウトにも是非その考え方を反映させる必要があります。
尻トレも前後方向である前額面・左右方向の矢状面・上下方向の水平面といった3つの方向を重視したワークアウトプランを確立することが大切です。
お尻を鍛えるポイントとなる股関節の動きを、以下の要点に留意して行えば、最大の尻トレ効果を引き出せます。
- 前後方向に動かす
- 左右方向に動かす
- 捻じりを加える
各種の自重メニューに“効かせる”工夫を凝らすことで、簡単にできる最強の尻トレを実践できるでしょう。
効かせるポイントはズバリ!骨盤の傾斜角です。
姿勢に注目
最強の尻トレメニューの前に考えるべきは、プリ尻に導くもうひとつの要因、+5度の骨盤前傾位です。
骨盤前傾とは真横から観た骨盤の前斜め下方への傾斜角で、多くの日本人はこの傾斜が狭く、前方向への下りが緩やかなため、骨盤周りの筋肉が十分使われません。
骨盤の傾斜角(下り坂の斜度)をあと+5度高めることで、大臀筋・中臀筋・小臀筋も適度な伸展状態となり、筋トレの収縮効果を得やすくなるのです。
骨盤前傾位と共に脊柱にもナチュラルな彎曲が生まれるため、トレーニングにフィットする姿勢改善にもつながり、腰~臀筋~ハムストリングという裏側のラインをトータルで連鎖的に鍛えられます。
骨盤をわずかに前傾させるだけでお尻に“効かせる”感覚が大幅にアップし、プリ尻に向けさらに磨きがかかるプラス・アルファの要素を見逃す手はありません。
前傾を確認するには立位姿勢なら、左右の拇指をビーナスのえくぼにあてがい指先でギューッと上に引き上げることで、自然な+5度の骨盤前傾を可能にします。
下腹部が伸びて腰周辺の緊張がわずかに高まれば少なくとも+5度以上前傾している証です。各々の種目直前に是非そうした傾斜角の確認を加えましょう。
骨盤前傾を以下に示す最強尻トレメソッドと組み合わせることで、思い描くプリ尻に近づけるはずです。
ヒップリード・ダウンスクワット
ではいよいよ今日からできる簡単尻トレをご紹介しましょう。
はじめのうちはメイン種目のみ、慣れてきたら違った動きで同じ効果が期待できるサブメニューを検討してください。
全ての種目で回数は5~10回×1~3セットを基本とし、右脚から開始を基準とします。
ひとつめはビッグスリーのひとつである“王道”スクワット、中でも下げる動きを意識できるヒップリード・ダウンスクワットを採用します。
股関節を曲げながら程よいテンポで下げていくとお尻への刺激が徐々に高まるため、プリ尻探究者にとってはおすすめのメソッドです。
股関節を曲げる
臀筋群に効かせるには、膝より股関節から曲げ始めるヒップ・リードテクニックを利用しましょう。
このヒップ・リードを導くには先に述べた+5度の骨盤前傾が必要です。傾斜角が狭い中間位や後傾位だと、屈曲を引き起こすヒップ・アンロックにならないのと、未経験者に多い膝から曲げるスクワットになりやすいからです。
股関節の屈曲主導になれば、大臀筋を含むお尻全体の筋肉が伸ばされた状態で力を発揮する伸張性収縮(ECC)の感覚が高まります。
筋肉が伸ばされながら力を発揮する感覚が強まることで、体重や動きによる荷重を股関節で受け止めるスクワット動作が可能になるのです。