わたしたちの身の回りには、たくさんの栄養素、成分が存在します。
有名なものもあれば、一般にはあまり知られていないものもありますが、「クエン酸」は有名なほうに分類される成分でしょう。
クエン酸とはどのような成分なのか今一度確認するとともに、摂取することによってどのような効果を発揮するのか、副作用はあるのかなど、知っておくべき知識をまとめました。
クエン酸とは
柑橘系に由来
クエン酸は、有機化合物の一種です。
「クエン」は、ミカン科の植物である「シトロン」の漢名です。
クエン酸はその由来の通り、柑橘系に多く含まれる成分です。
柑橘系の酸っぱさはの多くは、このクエン酸によって感じるものです。
健康効果を期待する場合ばかりではなく、風味付けの目的で食品に添加されることも多い成分です。
クエン酸が多く含まれる食品
柑橘系に多く含まれるクエン酸ですが、その中でもやはりと言うべきか、特にレモンに多く含まれています。
柑橘系以外でも、キウイフルーツやいちご、パイナップルなど酸味のあるフルーツにも含まれています。
それ以外にも、大豆やイモ類に含まれることも多いのは、あまりイメージができないかもしれませんね。
クエン酸回路の主役
クエン酸回路の重要性
生き物が活動する上で欠かせないエネルギー。
人間の場合は、これを主に「炭水化物(糖質)」「脂質」「タンパク質」のいわゆる「三大栄養素」として食品やサプリメントから取り入れ、これをエネルギー利用可能な形に合成したり変換したりして活用しています。
そのとき作られるエネルギー物質が、「アデノシン三リン酸」こと「ATP」です。
クエン酸回路は、ATPを生成するいくつかあるうちのひとつであり、生き物の活動にとって基本的かつ重要な回路となっています。
クエン酸は体内でも合成される
外部から取り入れた三大栄養素は、いくつかの過程を経て「アセチルCoA」を生成します。
クエン酸は、このアセチルCoAから生成されます。
よって、三大栄養素さえしっかり摂取できていれば、クエン酸は特別に摂取しなければならない成分というわけではありません。
ただし、より高い効果を求める場合において、クエン酸を様々な形で摂取することがあります。
クエン酸摂取で疲労回復?
摂取後の乳酸値が低下
クエン酸の効果として注目されやすいのは、疲労回復効果でしょう。
その根拠の一つとなっている研究では、45分の運動負荷を与えた後にクエン酸を摂取させました。
その結果、血中の乳酸値が低下していることを確認することができました。
乳酸の活用を促す効果
乳酸というと、疲労時に筋肉中に増加する物質であることから、かつては疲労の原因物質と見られてきました。
しかし、最近ではむしろその逆。
疲労時の回復を促すためのエネルギーとして利用されていることが分かってきたのです。
運動後に増加した乳酸値が減少したということは、エネルギー利用が進んだ証拠。
クエン酸の摂取がエネルギー代謝を高めることから、これがクエン酸が疲労回復に効果があるとされるゆえんです。
他にもある!クエン酸のすごい効果
疲労回復効果が注目されがちなクエン酸ですが、それ以外にもさまざまな有効性が指摘されています。
運動能力の向上
クエン酸の摂取により運動能力が向上することが確認されています。
効果が認められているのは主に持久系の運動。
これは、クエン酸の摂取がクエン酸回路の働きを活性化し、エネルギー代謝を高めるためと考えられます。