あなたはスポーツクライミングを知っていますか?
最近では、誰でも気軽に楽しめるボルダリングができる施設ができたり、公園の遊具で子供たちが遊べるようなちょっとしたボルダリング風の壁があったり、カラフルなその見た目はSNSを中心に話題になっています。
今回は、新たにオリンピック種目に仲間入りを果たし、競技として競うスポーツクライミングについて解説します。
オリンピック種目になったスポーツクライミングって?
馴染みのないあなたに、どういった競技なのか分かりやすくお伝えします。
スポーツクライミングの歴史
フリークライミングが時代とともに進化していく中で、純粋にそのスポーツ性を強調したものがスポーツクライミングです。
スポーツクライミングは自然の岩場での冒険的な挑戦にそのルーツを持ちますが、身体的な可能性を追求していく過程で愛好者が増え、「競技としてのスポーツクライミング」が確立されました。
カラフルな色の壁面を登るその様子は、見た目も相まって最近では男女性別を問わず人気のスポーツです。
じわじわと注目を集め全国に楽しめる施設も多くなってきました。
スポーツクライミングでは、この「ボルダリング」に加え「リードクライミング」「スピードクライミング」とそれぞれ特徴の違ったクライミングの3種目を競います。
オリンピックの新種目として取り入れられたスポーツクライミングですが、最初に世界大会が開催されたのは1991年。
歴代のオリンピック競技の中でも新しく、オリンピックの種目になったことから人気の加速ぶりが分かりますよね。
オリンピックで競うスポーツクライミング3種目の特徴は?
ボルダリング、リードクライミング、スピードクライミング異なる3種目の特徴をチェックしましょう。
同じスポーツクライミングでも各種目の見どころは全然違います。
与えられた課題を分析し、トライする「ボルダリング」
オリンピックのスポーツクライミング1つ目はボルダリングです。
ボルダリングはタイムリミット4~5分間で5メートルほどの壁に設置されたボルダー(丸石)を登ります。
トップホールド(ゴール)に両手を触れかつ、しっかりとバランスを取り安定した体勢を取った時点でポイント獲得となります。
この限られた時間の中、いかに冷静に最大で12ルートある壁面を登るか。
最も効率の良いルートを分析⇒トライしてトップホールドに到達できるかが見所なのがボルダリングです。
賢く立ち回り、高見を目指す「リードクライミング」
登り切った高さを競います。
焦点は1コース1トライの一度っきりのチャンスといった緊張の中で、「一手試すごとすり減る体力」をも計算し立ち回るか。
イメージ的には冒頭で触れた「フリークライミング」に最も近いのが「リードクライミング」です。
壁面のスプリンター「スピードクライミング」
ゴールタイムを競うスポーツとしては、オリンピック史上もっとも短距離になる「スピードクライミング」。
10~15メートルになる壁面を1対1でゴールタイムを競うこの競技、スポーツクライミングで唯一の対戦相手と同じ場所、同じタイミングでスタートする緊張感、そして疲労と1つのミスで落ちてしまえばゴールが出来ない緊張感が見所です。
オリンピックで行わるスポーツクライミングのルールと用語
オリンピックでも行われるスポーツクライミング3種目のルール説明と用語を解説していきます。
ボルダリング
ボルダリングは高さ5メートル以下程度の壁で、最大12手程度の複数のボルダーを対象にいくつ登ることができたかを競う種目です。
選手は安全器具等を装着しませんが、地面には落下時の衝撃を吸収するマットが敷かれています。
ボルダーは定められたスタート位置から始めて、トップホールドを両手で触り安定した姿勢を取ると完登とみなされます。
予選から決勝まで3ラウンド方式、予選は5分間、準決勝からは4分間の競技時間です。
この他のリード、スピードと異なり制限時間内であれば何度トライしても良いルール。
1ラウンドの間に4本の壁(課題)を順番にこなします。
4本を1ラウンドとするので、相性の悪いボルダーや次のボルダーへ向け体力を温存する戦略的撤退もOKです。
ボルダリングに限らず、スポーツクライミングの競技ではオブザベーション、戦い方を考える大事な分析時間があります。
このボルダリングのみ5分間の競技時間の中で組み込まれ、タイムテーブルの使い方も実力が試されます。
決勝のみ、事前に選手全員で2分間のオブザベーションが設けられます。
しかし、フェアな状態を作るため他の選手がどのように攻略したか競技の様子はみることが出来ません。
獲得ポイントが、最も高いものがそのラウンドの勝者となります。
リードクライミング
スポーツクライミング競技の中で最も古い歴史を持つのがリード種目です。
ロープで安全が確保された競技者が十数メートルの壁に設定されたコースを登り、その到達高度を競う競技です。
ラウンド方式はボルダリングと同じですが、リードクライミングは2コース各1回のトライ、決勝戦では1コースを登ります。
選手はハーネス(安全帯)をつけ支点確保の上、競技は6分間行います。
また試合前に、決勝ではオブザベーションの時間があり、予選では課題攻略のデモビデオをみる時間があります。
試合が始まれば、その時間で分析したプランで試合を展開しなければなりません。
さらに、試合中に起こる様々なトラブルにも対応することが重要で、ミスをして落ちてしまえばラウンドが終了します。
ワンチャンス、ワントライがリードクライミングの特徴とも言えるでしょう。
最終的に、その獲得したポイント(高度)が最も高い選手が勝利となります。
スピードクライミング
いかにはやく駆け上がることができるか。
スピードクライミングはそのためにトレーニングを積み重ね、コンマ数秒を競い合うスプリント競技です。
リードと同じく、ハーネス着用ですが支点はゴールに固定されています。
そのためスピードクライミングではカラビナを使って支点を新たに確保する必要がありません。
そして、ボルダーの配置決まっており、選手たちに要求されるのはミスなく最速でトライする事のみ。
1つの壁に対してトライできるのは1回のみ、日本最大の大会「ジャパンカップ」では予選で2つの壁、決勝では1つの壁でした。
途中で足を踏み外し、落ちてしまえばその時点でその壁で獲得できるポイントはゼロになります。
他の種目と違って10~15mのごく短距離であること、焦りからくるミスで落下して失格になる可能性もあり、まさに極限のスプリント競技と言えるでしょう。
スポーツクライミングの用語解説
オブザベーション
日本語で観察の意。スポーツクライミングでは登る前にコースを見て、手順などを予測する行為を指す。
カウントバック
同じラウンドで同じ成績の競技者が出た場合の順位決定方法。スポーツクライミングの場合は1つ前のラウンドの成績が採用される。
世界レベルで戦うスポーツクライミング界の海外トップスターたち
オリンピックのスポーツクライミングで相手となる海外の強者たち。
いずれオリンピックに出場し、白熱のバトルを繰り広げることになるであろう注目の海外の選手たちです。
最前線を行くトップクラスの男性選手
スポーツクライミングの規模は、世界大会において出場国60か国以上。
世界中から名だたるクライマーによって競われるスポーツです。
総勢で800人近い競技者の中から、最強のクライマーを決める世界大会で注目を集める海外のトップクラスの男性選手。
鍛え上げた肉体でパワフルさ、パワーだけじゃなく高精度のルート選択と判断力。
全てのバランスが高レベルで融合し、見ごたえのあるクライミングがオリンピックでも期待できます。
オリンピックの舞台で注目すべきスポーツクライミングの海外勢、男性選手をピックアップしました。
スポーツクライミング界で最強との声も多いアダム・オンドラ
[VIDEO] Adam Ondra: Ein Roadtrip durch den Balkan https://t.co/CrJz44djhm pic.twitter.com/DQbE2PAsVS
— Climbing.de (@climbingde) March 10, 2019
もともと、自然を相手にするフリークライミングを中心としていた業界では有名なチェコ出身のアダム・オンドラ選手。
スポーツクライミングの中でも、スピードクライミングがボルダーのレイアウトが固定されているのでクライミング競技としては批判的でした。
オリンピックでは、これを含む3つの種目の合計を競うという事で参加しないとされていました。
しかし、最近になってスピードクライミングのトレーニングをはじめたと話題に。