右代啓祐選手は十種競技を専門とする陸上選手です。10種目の競技を2日間で行うため普通では考えられない身体能力が要求されます。
十種競技は途中で棄権する選手も多く優勝者は「キング・オブ・アスリート」と呼ばれており、それほどにハードで過酷な陸上競技であるといえます。
右代啓祐選手は十種競技の日本記録保持者ですが、その驚くべき筋肉はどのようなトレーニングでつくられたのでしょうか。
そこで今回は右代啓祐選手の筋肉トレーニング方法を徹底的に解説していきます。十種競技に耐え抜く筋肉をつくる筋トレ方法と一緒に右代啓祐選手の食事内容にも注目して紹介します。
優れた身体能力が必要な十種競技
専属トレーナーのジムでトレーニング。バキバキに仕上がってきた。 pic.twitter.com/uBNxX7O6tk
— 右代啓祐 (@ushirokeisuke) September 5, 2015
十種競技は10種目ものさまざまなカテゴリーの競技をわずか2日間で行う競技です。各競技の記録を元に得点が換算され、10種目の合計得点で競います。
それぞれの種目でいい記録を出すことが求められるため、優れた身体能力が必要となる非常にハードな競技といえます。
十種競技の内容
十種競技では具体的にどのような種目が行われるのでしょうか。競技が行われる順番と日程は決まっており、10種目の競技が2日間にわたって行われます。
1日目 | 2日目 |
100m | 110mハードル |
走幅跳 | 円盤投 |
砲丸投 | 棒高跳 |
走高跳 | やり投 |
400m | 1500m |
右代啓祐選手は十種競技の日本記録保持者!
【大会結果】
アジア選手権 7872点で優勝しました。世界陸上につながる勝ちになりました。荒削りな技術を磨いて1ヶ月後のHYPO Meeting に向け頑張ります。
応援ありがとうございました!#サンライズレッド#JAAF pic.twitter.com/awMHvTiCQv— 右代啓祐 (@ushirokeisuke) April 23, 2019
このように十種競技では短距離走・中距離走・障害走・投てき競技・跳躍競技において、それぞれの種目でよい記録を出さなければなりません。
右代啓祐選手は2014年に十種競技で日本記録を更新した日本記録保持者です。
右代啓祐選手は学生時代からケガに悩ませられながらも十種競技に必要なトレーニングを行い、196cmという体格を活かして日本記録保持者となりました。
十種競技に必要な筋肉
仕上がってきた!! pic.twitter.com/KJTnSuDWvK
— 右代啓祐 (@ushirokeisuke) March 14, 2017
長身でバランスの取れた大きな身体が特徴的な右代啓祐選手ですが、10種類もの競技でよい記録を出すためにはどのような筋肉を鍛えればよいのでしょうか。
十種競技は走る・跳ぶ・投げるという全ての競技の運動に必要となる筋肉をバランスよく鍛えなければなりません。
短距離走・中距離走に必要な筋肉
短距離走・中距離走は主に下半身を中心に鍛える必要があります。
短距離走や中距離走のトップアスリートは全身が細く引き締まっているように見えますが、下半身の土台となる大殿筋や太ももには強靭な筋肉がついています。
- 大腰筋・大腿直筋 … 股関節の屈曲をサポート(膝を前に出す筋肉)
- ハムストリング・内転筋群 … 股関節を伸ばす・膝を曲げる
- 臀筋群 … 股関節を伸ばす・骨盤を支える
跳躍競技に必要な筋肉
肩甲骨周りのトレーニング。#バランスボールに乗りながら#合宿最終日#ボロボロ https://t.co/9J2yLnUyZf
— 右代啓祐 (@ushirokeisuke) April 17, 2016
跳躍競技は重力に逆らって身体を地面から浮かせるので、全身の筋肉をバランスよく鍛える必要があります。また空中で身体をコントロールできる体幹を鍛えなければなりません。
また跳躍には瞬発力が重要な要素となりますが、瞬発力は下半身を中心とした筋トレで磨くことができます。
走り高跳びの場合は下半身の強化以外にも、踏み切りの際に必要となる背筋と腹筋を鍛える必要があります。また棒高跳びでは腕の筋肉と空中で身体のバランスを取る安定した上半身を備えていなければなりません。
投てき競技に必要な筋肉
十種競技では4種類ある投てき競技の中からやり投げ・円盤投げ・砲丸投げを行います。投てき競技は筋力が記録を左右するため、全ての競技の中で最もウエイトトレーニングが重視されます。
投てき競技で記録を出すためには上半身・下半身全ての筋肉を鍛える必要があります。
右代啓祐選手の筋トレ方法:上半身
【トレーニング動画】
クリーン150kg pic.twitter.com/zRtOq4dBlc— 右代啓祐 (@ushirokeisuke) June 4, 2019
十種競技の中でウエイトトレーニングが最も重要となる競技は投てき競技です。その次に跳躍競技、そして短距離走・中距離走となります。
しかし十種競技はこれら全ての競技を行うため、どの競技にも通用する身体を筋トレで鍛えなければなりません。
日本記録保持者の右代啓祐選手はどのような筋肉トレーニングで身体づくりを行っているのでしょうか。
ベンチプレス
ベンチプレスは上半身がまんべんなく鍛えられる筋トレです。右代啓祐選手のベンチプレスは190kgといわれています。一般の成人男性の平均が約45kgなので右代啓祐選手の筋力は驚異的です。
ベンチプレスでは主に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を鍛えることができます。
- バーを握る際は手首に負担がかからないよう手首を少し外側に向けて両手首を「ハ」の字にする
- 肩を傷めないよう適切な手幅(肩峰の長さの1.5倍以内)でバーを握る
- 身体が台にしっかり固定されるよう肩甲骨を下に寄せて仰向けになる
- 肩甲骨を下に寄せて胸を張りブリッジができているかどうかを確認する
- 力を入れやすい位置で足を踏ん張り胸のブリッジを固定する
- バーは肩関節の真上あたりで安定する位置に保持する
- バーを前腕が地面と垂直になる場所に下ろす
- バーを上げる際はまっすぐ上げるのではなく曲線を描くように上げる
- バーを上げる時にお尻が浮かないように台を背中で押して上げる
- バーを上げた時に肩を浮かせない
スナッチ
投てき競技に必要な身体のバネを強化する筋トレがスナッチです。
右代啓祐選手はスナッチで100kgの重量を上げるそうですが、身長が高いので可動域が大きく重い重量を上げるためには相当な筋力が必要となります。
- 人差し指を親指の上に重ねてバーを握る
- 手幅はバーを頭の上に持ち上げた時にバーが安定しやすい位置を目安とする
- お尻が先に上がらないよう気を付け上体をまっすぐ起こしたままバーを膝上まで引き上げる(ファーストプル)
- バーを膝上まで持ち上げたら下半身を伸ばして一気に上まで引き上げる(セカンドプル)
- キャッチの練習はバーを肩の上に担ぎ反動をつけて頭上に上げる練習を繰り返すと感覚が掴みやすくなる
- キャッチの感覚を掴むことができたらファーストプルからキャッチまでゆっくり行う
ハイクリーン
クリーンは全身の筋肉を使って行うウエイトトレーニングです。クリーンの動作は身体の使い方やテクニックも重視されるため、十種競技のパフォーマンスを高めるために効果的なトレーニングです。
ハイクリーンはスピードや瞬発力も高めることができます。右代啓祐選手は男子56kg級の重量挙げ選手と同等の重量を挙げることができるそうです。
- 手幅を肩幅より広めにとりバーを握る
- 足幅は腰幅または腰幅より広めに位置づける
- ファーストプルはお尻を先に持ち上げないように気を付けバーを膝まで持ち上げる
- セカンドプルは上半身の重心を後ろにかけできるだけ股関節にバーを近づけて持ち上げる
- キャッチはフロントスクワットで下半身を伸ばすことを意識しながらバーを肩の位置で受け止める
デッドリフト
デッドリフトは背筋や太もも、腕を中心に全身を鍛えることができるウエイトトレーニングです。