私たちが普段雑草扱いしている植物の中には、思わぬ効果を発揮して健康をサポートしてくれるものも存在します。
今回紹介するのは、その中の「イタドリ」という植物。
食用として販売される地域もあるというイタドリとはどんな植物なのか、その効能や効果、サプリメントとして摂取する場合の注意点などをまとめました。
イタドリとは
イタドリはタデ科の多年生植物で、大きくなると人間の身長よりも高くなります。
赤みがかった立派な茎に、たくさんの節があるのが特徴で、中は竹のように空洞になっています。
地面に地下茎を伸ばして生育するため、強い生命力で繁殖することで知られています。
雑草扱いされることも多いイタドリですが、一部地域では食用として利用されることも。
古くは薬としても利用され、傷口に塗り込むと「痛みが取れる」ことから、イタドリという名前がついたようです。
イタドリは何に効く?
古くから漢方として利用
イタドリは、古くから漢方としても利用されています。
利尿作用や便秘の解消、生理不順などに効果があるとされています。
根茎を掘り出して乾燥させたものは、「虎杖根」として知られます。
虎杖根は、関節痛や咳止めなどに効果があるとして利用されています。
本記事を読まれる方の中には、日常的にトレーニングに励んでいらっしゃる方が多いことでしょう。
関節痛に悩んでいる方も多いと推測されますから、イタドリは注目しておきたい植物のひとつです。
イタドリの主成分
イタドリに含まれるのは、「ポリゴニン」やポリゴニンを加水分解したときに生じる「エモジン」、ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」などです。
中でも有名なのはレスベラトロールで、こちらは一般に赤ワインの健康効果とされるものに関与している成分です。
レスベラトロールとは
ぶどうなどに多く含まれる
イタドリに含まれるレスベラトロール。
ほかにも、ぶどうやサンタベリーなどに多く含まれます。
外国産のレスベラトロール配合サプリメントでは、イタドリ由来のものが一般的。
これは、ぶどうやサンタベリーなどはしっかり世話をして育てる必要があるのに対し、イタドリはその生命力のたくましさから、ほとんど手間を掛けず大量に収穫することができるからです。
ただし、イタドリは漢方に利用されてきた歴史から、イタドリからレスベラトロールを抽出してサプリメントとして販売することは、違法とされています。
若返りを促す?サーチュイン遺伝子を活性化
人間の体内では、絶えず細胞分裂が行われています。
ただし、ひとつの細胞が分裂する回数は決まっており、それがストップすることで老化してしまいます。
分裂回数を決めるのは染色体にある「テロメア」の長さ。
「サーチュイン遺伝子」を活性化させることで、テロメアが短くなりにくくなります。
レスベラトロールには、このサーチュイン遺伝子を活性化する働きがあると言われています。
近年盛んに取り上げられる赤ワインの健康効果は、サーチュイン遺伝子の活性化による老化の防止効果が注目されてきたからなのです。
フレンチパラドックス?
「フレンチパラドックス」という言葉はご存知でしょうか。
フランス人は肉や乳製品など動物性の食品を多く摂取するにも関わらず、血管系の病気にかかる割合が少ないことはパラドックス、つまり矛盾しているという考え方です。
これは赤ワインを飲んでいるからであるとし、赤ワインブームのきっかけにもなりました。
ただし、近年ではこの考え方には疑念が呈されています。
また、ワインの形でレスベラトロールを摂取しても効果は薄いとする研究もあります。
現時点では諸説ありますが、レスベラトロールの効果自体はかなり研究が進んでいますから、意識して摂取することは意味があることでしょう。
サプリメント購入時の注意点
商品数が少ない
注意点というほどではないかもしれませんが、イタドリのサプリメントは商品数が少なく、それほど選ぶ余地があるわけではありません。
比較検討をするのが難しいため、価格や効果の妥当性について判断しづらいという点においては、消費者としては厳しいところです。
副作用
イタドリのサプリメントに関して、これまでのところ重篤な副作用が発生したという報告はありません。
ただし、植物としてのイタドリを大量に摂取した場合にはシュウ酸の作用により下痢や尿路結石の原因になることもありますので、注意が必要でしょう。
もちろん、適量を守れば問題はありません。
摂取による体調不良が疑われる場合には、ただちに摂取を中止し、医師の診察を受けるようにしましょう。
多くの人が雑草だと認識しているイタドリですが、実はものすごいパワーを秘めた植物であることが分かりました。
特に関節痛に対する効果は、トレーニングに励むものとしては注目しておきたいところです。