世界水泳大会やリオデジャネイロオリンピックなどで上位入賞を果たしている瀬戸大也(せと だいや)選手は、スランプを乗り越えて強くなりました。
彼がスランプに落ちた理由とは一体何だったのでしょう?そして瀬戸大也選手をスランプから救ったものとは……。
トップアスリートのしなやかな肉体を作る食事にフォーカスを当てて、瀬戸大也の強さの秘密を探ります。
アスリートの体を作る「勝ち飯」もお見逃しなく!
スランプ時の食事は女子の食事量だった
瀬戸大也選手は2012年世界水泳選手権から輝かしい記録を打ち立て2015年には400m個人メドレーで連覇を果たしています。
しかし連覇を果たした同年2015年、瀬戸大也選手は手術を機に迷走を余儀なくされたのです。
2015年に三角骨を手術
翌年のリオデジャネイロオリンピックへの出場が決まった瀬戸大也選手ですが、2015年の米国合宿中に左のかかとに痛みを感じ、帰国後に手術を受けています。
彼を襲った痛みは三角骨(さんかくこつ)という余分な骨による炎症でした。
三角骨は足首の後ろに出来る骨で生まれつき持っている場合と怪我によって生じる場合があります。
いずれもバレエのポワントのような足首に大きな負荷をかけた場合に炎症を起こすといわれており、通常は動作を制限し痛みを抑えたり消炎鎮痛剤を投与したりして様子を見ることになります。
しかし瀬戸大也選手はオリンピックでの痛みの再発を避けるために、早めに三角骨切除手術へ乗り切ったのです。
瀬戸大也は体重を落とそうとしていた
三角骨切除の手術後、泳げない時期などがあり瀬戸大也選手は体重が増加しました。そこで彼は独自に食事制限をして体重を落とそうとしました。
この食事制限こそが瀬戸大也選手をスランプに陥れた元凶だったのです。
リオデジャネイロオリンピックで選手の栄養を管理していた栗原氏は、後に当時の瀬戸大也選手の食事はOLのような食事内容だったと述べています。
瀬戸大也選手は栄養が足りずにエネルギーを生み出すことが出来ず、自分自身の筋肉をすり減らしながらエネルギーを生み出していたのです。
実際に当時の瀬戸大也選手の筋肉量は一般の人と大差ない数値でした。
栗原秀文氏のアドバイスが瀬戸大也を変えた
日本水泳連盟水泳日本代表のオフィシャルスポンサーでもある「味の素」の栗原秀文氏は、選手達の栄養マネージメントを担当していました。
栗原氏は瀬戸大也選手の細い食時内容に喝をいれ、エネルギーを生み出す炭水化物の摂取を薦めます。
体を大きくしてパワーをつける
増えた体重を落とすために瀬戸大也選手は体を小さくしようとしていましたが、栗原氏は筋肉をしっかり付け大きな体でパワーを持続させる様に指示を出しています。
瀬戸大也選手自身、栗原氏の指示通りに実践してから1ヶ月ほどでパワーが出てきたとコメントを残しています。
1日5000kcalが目標
通常20代の成人男性の摂取カロリーは2500kcal前後です。しかし栗原氏は瀬戸大也選手に通常成人男性の2倍にあたる5000kcalの食事を指示しています。
さらにそれまで肉を多く摂取していた食事内容に魚や副菜を加え栄養バランスもあげています。
一般人が1日に5000kcalの食事を摂取していたら、あっという間にメタボリックシンドロームに落ちていきますね。それほどトップアスリートのエネルギー消費は大きいということです。
タンパク質+豆類や海藻
瀬戸大也選手は、独自の食事制限中もご飯やお肉はある程度摂取していたようです。しかし栗原氏はその点にも着目しました。
肉を摂取することで筋肉の元となるタンパク質が足りていても、タンパク質を筋肉へと変えていくミネラルが不足していたのです。
その為瀬戸大也選手がいくらトレーニングをしても筋肉は付かず、無駄にエネルギーが消費されていました。そこで筋肉を生み出す豆類や海藻といったミネラルを彼の食事に組み込みました。
瀬戸大也の筋肉をしなやかに変えた食事改革
瀬戸大也選手は日本代表選手らを対象としたコンディショニングサポート「ビクトリープロジェクトⓇ」の食事管理によってしなやかな肉体を手にしています。
ビクトリープロジェクトⓇ
競技力の向上とメダル獲得数を増やす為に組まれた「ビクトリープロジェクトⓇ」は、2017年の日本水泳連盟水泳日本代表のオフィシャルスポンサー「味の素」のサポートチームです。
管理栄養士や調理シェフが強力に選手達の食をバックアップしました。
筋グリコーゲンに着目した食事
ビクトリープロジェクトⓇが重要視していたのは、筋グリコーゲンです。
筋グリコーゲンは運動に大きく関与するもので、一言でいうと筋肉に貯蔵される糖の事です。