これから筋トレを本格的に始めようとする場合、適切なメニューを組むことは結果に大きく影響します。
そこで当稿ではワークアウトメニューの管理法に注目し、鍛えたい部位ごとに大いに役立つ組み合わせの実例をご紹介しましょう。
さらに最新の筋トレアプリを利用した効率のよいメニュー管理とその見直しを含め、最大の成果を引き出す方法についても知っていただけたら嬉しいです。
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チェックは1週間毎が基本
まずメニューの管理法については人の行動サイクルと大いに関係があるという理由から、基本的には1週間単位での管理を推奨しています。
週単位の理由
学校や会社等の社会生活において、人の行動は基本的に1週間というサイクルに慣れています。
体内時計が1日24時間×7日間というサイクルを繰り返すため、この範囲にリズムを合わせることでワークアウトメニューを比較的ストレスなく身体と脳に馴染ませることが可能です。
従ってワークアウトの管理法としては1週間毎にその設定を見直すよう心掛けてください。
週単位の効果
メニューを週ごとに管理することで、行動リズムをルーティン化し日常生活に浸透させやすくします。
特に筋トレの中身を「計画・実行・評価・再調整」というPDCAサイクルに置き換えて評価し、アクティブレスト(積極的休養)を加えながら継続することは、一連の良い流れを育みその後の結果につながる大きな要因です。
筋トレに集中する環境整備
1週間単位での行動が基本となるためその他の活動が容易に把握できるようになります。
仕事関係・家庭の諸事情等含めオン/オフの切り替えもしやすくなり、よりトレーニングに集中しやすい状況をつくり出せるでしょう。
組み方のポイント
次は部位別の具体的な組み方のポイントについてご紹介しましょう。
30代前後の男性なら特に格好よさを強調できるポイントなので、大きな効果を得られるよう特にウェイト(重さ)とレップ数(回数)を重視します。
具体的には各部位毎に少なくとも10回挙上できる重量:10RM(1)を選択してください。
(1)RM:Repetition Maximum:反復可能回数
分割法が決め手
トレーニングは分割法を用いて体の各部位へ集中的に効かせることが最も効果的です。従ってまずはスタンダードな3分割法でそれぞれを鍛えることにしましょう。
- 上半身前面
- 下半身
- 背中
メニューの数は①・②・③共にメイン種目1+サブ種目1(+アルファ)を基準とします。
それぞれを10回×3セットとし、トータル・セット数で6(~9をMAX)、挙上回数を1度のトレーニングで最大100回以内に抑えることで、筋・腱・関節組織への荷重疲労を抑えましょう。
順番こそが肝(きも)
重要なことは筋トレの順番を①(上半身)→②(下半身)→③(背中)というオーダーにすることです。
関節を介した動きには一方が縮まれば他方は伸ばされるという特徴があり、この主に働く(縮む)主働筋と、その逆方向に作用する(伸ばされる)拮抗筋の関係性を知っておくと良いでしょう。
例えばベンチプレスなら、大胸筋収縮時には背中の広背筋・肩甲骨周囲筋群が拮抗作用として伸ばされながら働く、つまり2次的に使われるため背部疲労の高まる可能性があるのです。
このため上半身のワークアウトの次にそれまでトレーニングしていない下半身を優先し、背中は上半身から24時間以上のインターバルをおくことで、過度の疲労蓄積を生まないように設定します。
またワークアウトを基本的に日曜日から開始、さらに週単位での頻度(回数)を5回以内に抑えましょう。
「3分割法だから6回/週なのでは?」と疑問に思うかもしれませんが、疲れを残さないためには週5回サイクルで残った部位は翌週の1番目にセットするルーティンがベストです。
疲労を残さない頻度設定
下記の例を参考にメニューを組んでみてください。
Wk1:㈰A ㈪B ㈫C ㈬ActR ㈭A ㈮B ㈯Rst
この設定だと週5回頻度、次週はC(背中)を、次々週はB(下半身)を、その週の最初にセットというルーティンになります。
1週間サイクルでの中身の見直しを基本とするため、最初にチャレンジする部位が週ごとに変わるという設定は精神的・肉体的にフレッシュな状態が維持できるはずです。
ActR:アクティブレスト(積極的休養)/Rst:休養
各部位を月に6~7回の頻度で鍛えるスタイルを維持、さらに第1クール後は水曜日にアクティブレストを加えることで、同週の第2クールに向けた筋の調整期間に充てられます。
アクティブレストはスローペースな運動を一定時間持続することで、筋肉・腱を含めた組織の血流促進・疲労物質除去を目的とした疲労回復法です。
体をしっかりと休ませる完全休養と同等に近い機能改善効果があり、週後半に向けてのワークアウトを肉体的・精神的により集中した状態で実施できるでしょう。
逞しい上半身の鍛え方
いよいよ各部位の具体的な鍛え方についてご紹介します。今からお話しする筋肉を上手に動かすコツを理解した上で取り組んで下さい。
まず上半身は3つの筋肉にフォーカス、厚い胸板・肩幅の広さ・姿勢の良さを強調するためには外せない部分です。
筋肉が上手に動くコツ
骨格筋の両端はいずれかの骨に必ず付着しています。
筋肉が骨のどこから始まり(起始)どこに付いている(停止)かがわかれば、その筋肉の動く仕組みがイメージできて、よりトレーニング効果が高まるはずです。
また呼吸の仕方で力の入れ具合が大きく変わるため、基本的な息の出し入れを習得することも忘れないでください。
特にウェイトを扱う筋トレでは「挙げる(筋の収縮)時に吐く・下げる(筋の伸展)時に吸う」を基本とします。
鍛えるべき筋肉の覚醒にはこうした起始・停止の概念と、上手に動かす呼吸の仕組みを是非、利用してみましょう。
象徴的な胸板へ!大胸筋
上部(鎖骨)・中部(胸肋)・下部(腹直)という3つの筋繊維(起始)と、上腕骨の上1/3を結ぶ(停止)大胸筋は、体の前面に位置し、ぶ厚い“胸板”を形作る重要な筋肉です。
一方は3ヶ所、他方は1ヵ所の付け根があるので直角にした肘を水平に肩まであげ、後方に目一杯引くと大胸筋は広がり(伸展)そのまま肘を絞りながら伸ばしていけば縮み(収縮)、この動作をベンチで仰向けに行うとそのままベンチプレスの形になります。
上半身はビック・スリーのひとつといわれるこのベンチプレスをメインとして、プレス系の基本動作を習得しながら大胸筋全体のボリュームアップを注視しましょう。
グリップの幅(手幅)は肩幅の1.5倍を基準とします。この幅で多少肘を張り気味でおろしていけば、バーベルが胸に付くボトムポジションで自然に脇が開き肘や肩への負担を回避できます。
またこの幅に慣れてくるとおろしながらのネガティブワークで肩甲骨周囲筋の動きも意識できるため、使われる筋肉の働きがさらに高まり、胸部のより大きな動作を可能にできるでしょう。
鍛えるべき中心の大胸筋、そして肩周りや上腕にも効くベンチプレスはコンパウンド系(多関節運動)とも呼ばれ、胸~肩周りまでを幅広く鍛えることができる種目です。
これから本格的に筋トレに関わろうという場合には特におすすめなので、そのフォームをしっかり習得して下さい。
またサブ・メニューとしてチェストプレスやバタフライといったマシンを利用すれば、より胸に効く感覚が高まり大胸筋への刺激効果としても大変有効です。
際立つ肩幅!三角筋
肩関節を外側からおおい、前部(鎖骨)・中部(肩峰)・後部(肩甲骨)の起始と上腕骨の外上側1/3に付く(停止)三角筋は、腕を前・横・後にあげる役割を担います。
ここでは三角筋をひとつのユニットとして単一種目で鍛えられるバックプレスを選択しましょう。バックプレスはバーベルを肩に担いだ状態から頭上に挙げる動作です。
重りを頭の後ろで操作するため特に慣れないうちは不安定になりがちですが、まずは各々に合ったウェイト設定を心がけてください。