一言で「クライミング」と言っても、エイドクライミングやアルペンクライミング、アイスクライミングにツリークライミングなど様々なスタイルがあります。
スタイルに合わせて持参するクライミング・ギアも変わりますが、持っていると様々な面で重宝するのがスイベルです。
クライミング用スイベルは、山岳装備やクライミング関連の書籍・雑誌でも詳しく触れていない場合が多く、初めて購入する場合に何を基準に選べば良いか迷ってしまうことも。
そこでクライミング用スイベルのおすすめ人気ランキングと共に、種類や選び方をご紹介します。
あなたの目的や登攀スタイルに最適なスイベルを見つける際に、是非お役立て下さい。
スイベルとは?
スイベルとは「2つの接続点を持ち、お互いが自由に回転出来る接続部」を指すため、クライミングだけでなく、釣り・クレーン作業・レスキューなど、様々なシーンで使われている部品でもあります。
スイベルの用途
クライミングにおけるスイベルの利用シーン
ロープがねじれるのを防ぐため、ハンギングやリギングの際に使用するクライミングギアです。ロッククライミングでの懸垂降下や宙吊りになった際、ストレス無く体の向きを変えたい時に用います。
同様にホールバッグなどの大きな荷物を引き上げたり、レスキュー時に使えるギアでもあります。
クライミング以外のスイベルの使い途
ねじれ防止だけで無く、独立した接続部によって回転を伝わらせない特性を活かし、ハンモックスイングに利用することも出来るため、アウトドアシーンで使うことも。
またツリークライミングでは、体の向きが固定されてしまい行動制限されるのを防ぐために、複数のスイベルをシステムに使用するケースなどがあります。
クライミング用スイベルの種類
ロープスイベル
最も基本的なスイベル。両端にそれぞれロープやカラビナを引っ掛けて使います。サイズが大きく、強度内であれば複数のカラビナを引っ掛ける事も可能です。
ボールベアリング内蔵のスイベルは非常に滑らかなため荷重をかけてもスムーズに回転し、動きの自由度や安全確保などの面で効果的です。
カラビナスイベル
片方がカラビナになっているタイプ。ランヤードの先端に取り付けると、非常に使い勝手が良いクライミングギアです。
スイベルプーリー
プーリー(滑車)が付いたスイベル。ハンギングやリギングの際、ロープが流れる向き次第ではギアに大きな負荷がかかる場合があります。
スイベル付きのプーリーならばその負荷を軽減することが出来る上に、スイベルとプーリーが一つになっている事で装備の軽量化も捗ると言うメリットがあります。
クライミング用スイベル を選ぶ際のチェックポイント
強度
装備品選びは、クライマーの生死に直結するので慎重に選びたいもの。それ故に最も大事なチェックポイントは強度です。
ほとんどのスイベル には「30kN」「kN24」など、そのスイベルが破断に耐え得る強度を記載してあります。この「KN」とは「キロニュートン」という力の大きさを表す単位であり、1kN=約102kgの換算となります。
つまり30kNのスイベルならば、約3060kgの破断荷重に耐えられます。
ただし、ここで記載している破断荷重とは金属が壊れる荷重を差し、ベアリング等が荷重に耐えられなくなり使用出来なくなる使用荷重(許容荷重)とは異なります。30kNと記載しているからといって3060kgの荷物を吊るした場合、スイベルが壊れる可能性があるのでご注意下さい。
重量
多くのクライマーが「山に置いて軽さは正義」と力説している通り、装備の軽量化は避けては通れない課題の1つ。
クライミングギアにも当然、軽さは求められます。しかし「軽さ」はあくまで副次的なチェックポイントである事を忘れずに。
機能性や強度が同じスイベルを検討する場合に、より軽い方を選択すると良いでしょう。軽さはサイズや材質によって変わります。ステンレススチールなどの材質だと重く、アルミやアルミニウム合金になると軽くなります。
サイズについては、使用するロープの太さやカラビナをいくつ付けるか等、利用シーンを想像すると選び易くなるでしょう。
価格
クライミング用スイベル の価格は数100円の安い商品から、2万円を超える高価な商品まで様々です。
「安かろう悪かろう」と言う諺がある様に、あまりに安い商品は強度や品質面に不安が残りますので避けておきたいところ。
1,000円〜10,000円以内の商品であれば心配する事はありません。
メーカー
名の知れたクライミング・ギアのブランドであれば、機能性も信頼性も安心する事が出来ます。ペツルやロック・エグゾティカの様な有名なクライミングのブランド製品であれば、言うまでもありません。
クライミング・ギアの選択は、ある意味「道具」と「命」を秤にかける作業でもあるため、ノーブランド品のギアはあまりおすすめ出来ません。
安全基準
安すぎる製品をおすすめ出来ない理由は、UIAA(国際山岳連盟)という国際規格基準をクリアしていたり、精度の高い検品による品質管理の面であまり期待できないからでもあります。
UIAAとは別にCE(Conformite Europeenne)という認証がありますが、これはヨーロッパにおいて販売する工業製品が、一定の安全基準をクリアしていることを示すマークです。またEN(European Norm)というEUの統一規格などもあります。これらもUIAA同様、信頼できる基準と言って良いでしょう。
ノーブランド品のギアも上記の認証をクリア出来ていれば、品質面ではある程度信頼しても問題ありません。
中国製品
よく懸念される中国製のブランドですが、UIAA(国際山岳連盟)やCE・EN(ヨーロッパ)、ANSI(アメリカ)の認証を得ている製品であれば、強度においては一定の信頼が置けると言えます。
しかし品質管理は別物です。購入した際に、ご自身の目で必ずしっかりと状態を確認することをおすすめします。
クライミング用スイベル おすすめ人気ランキング6位〜4位
6位 Fusion Climb 36kN 回転スイベルシャックルデバイス
フュージョンはアメリカのジップライン市場で75%のシェアを占めており、アウトドアやミリタリー業界で名の知られた企業です。デザイン性や機能性もさることながら、何よりも耐久性や安全性を重視しているためアメリカ軍やSWATでも使用されている程。
約195gと少し重めではありますが、驚くべきはその耐久性。コンパクトながら36kN、即ち約3672kgの破断荷重に耐えらることが可能です。
警察や軍隊で使用されている点からも安全基準は折り紙付き。ANSI(米国国家規格協会)というアメリカの認証をクリアしています。
5位 23kN スイベルアイカラビナ
オーソドックスなD型のカラビナの付いたスイベル。ランヤードの先端に取り付けると非常に使い易いこともあり、いくつか持っておきたいギアのひとつです。
材質もアルミニウム合金のため非常に軽く、破断強度は23kN(約2346kg)まで耐えられます。認証もCEをクリアしていますので、品質についても安心出来ますね。
4位 30kN スイベルリング
37× 87mmと非常にコンパクトながら破断強度は30kN(約3060kg)に耐え得る耐久性を持ち、CEとENの安全基準をクリアしているスイベル です。材質もアルミニウムマグネシウム合金なので軽く、コンパクトながら軽くて丈夫と言う3拍子揃ったクライミング・ギアですね。
クライミング用スイベル おすすめ人気ランキング1位〜3位
3位 22kN スイベルアイカラビナ
カラビナの付いたスイベル。破断強度は22kN(約2244kg)に耐え得る耐久性を持ち、2個セットで1,000円とコストパフォーマンス面で非常に優れたカラビナと言えますね。カラーバリエーションも3色の中から選べるので、コーディネートを楽しめる点も良いですね。
2位 Lixada 30kN ロープスイベル
Lixadaは中国ブランドですが、EN(ヨーロピアン・ノーム)というEUの統一規格をクリアしています。何よりも、108 × 55mmと手のひらに収まる大きさでありながら、30kNの破断強度を持ち合わせている点には驚きです。
その強度からカラビナも3つ付ける事が可能で、こちらもブラック+ローズ/オレンジ+グレー/ブラック+ブルーとカラーバリエーションが3種類ありコーディネートを楽しめます。
材質はアルミ合金で重さは141gと少し重いですが、コンパクト故にすぐに取りだして使える点や、スペースを取らない点は魅力的だと言えます。
こちらも5,000円以下なのでコストパフォーマンス面で非常に優れています。
1位 GM CLIMBING 35kN スイベルリング
GM CLIMBINGも中国ブランドではありますが、その安さながらCE(ヨーロッパ基準)の安全基準をしっかりとクリアしています。最近、amazon等でGM CLIMBINGのギアを見かける人も多いのではないでしょうか?
最も重要な品質面ですが、CEの安全基準をクリア、84.8 × 38.9mmのサイズで破断強度は35kNに耐え得る耐久性、それでいながら73gの軽さを併せ持っています。ステンレススチールのボールベアリング内蔵なので回転も非常にスムーズ。
しっかりとした品質と驚きの軽さでありながら5,000円以下、というコストパフォーマンスに優れた点が人気の理由ででしょう。
自分のスタイルに合わせたスイベル選びを
カラビナで代用してしまいがちですが、使い方次第では様々なシーンで活躍するクライミング・ギアです。
利用シーンや登攀スタイルを考えながら、自分に合ったスイベルを是非検討してみては如何でしょうか。
また、スイベル以外のクライミングギアをご検討の方は、是非こちらもご参考下さい。