2016年に行われたシカゴ強化合宿では、大荷物とともにメディシンボールを抱えている宇野選手の姿がありました。
今回はメディシンボールを使ったスタビライズトレーニングをご紹介します。ボールをぶつけられる壁の前で行うか、ボールをキャッチしてくれる人を探しましょう。
メディシンボールを使ったスタビライズトレーニング
- メディシンボールを両手に持ち、床に座ります。
- 膝を軽く曲げ、背中を後ろに倒していきます。
- すぐに上体を起こすと同時に壁にボールを投げ、キャッチします。
- 2.〜3.を繰り返します。
【ポイント】
上体を起こす際は腕の勢い(ボールを壁にぶつけるモーション)ではなく腹筋の力を使います。
体を起こす動きとボールを投げる動きは別物として考えるといいでしょう。
宇野選手が取り入れているスタビライズトレーニングと体幹トレーニングの違いとは
多くのアスリートが取り入れている体幹トレーニングは、その名の通り「体幹部」のインナーマッスルを鍛えることが目的です。これにより、急な動きや急な静止でもバランスを崩さない体軸が生まれます。
一方スタビライズトレーニングは体全体の安定性、特に関節の安定性向上を目的としてインナーマッスルの強化を行います。
- 体幹トレーニング:体幹部のインナーマッスル(一部アウターマッスル)強化
- スタビライズトレーニング:関節周辺のインナーマッスル強化
スタビライズトレーニングのターゲットは体幹部のみならず、肩や膝、足首など広い範囲に及ぶのです。
スタビライズトレーニングで筋肉が発達したのはなぜ?
スタビライズトレーニングは基本的にインナーマッスル強化に重きが置かれています。しかし宇野選手の足や腕などに立派な筋肉(=アウターマッスル)がついているのはなぜでしょうか。
これには2つの理由が考えられます。
- 体幹トレーニングと共通する動きを取り入れているから
- インナーマッスルと連動するアウターマッスルが鍛えられている
体幹トレーニングとスタビライズトレーニングは共通するメニューが多いため、体幹トレーニングで鍛えられる太ももや腹筋などのアウターマッスルが発達していることが考えられます。
また、インナーマッスルを鍛えようとしても連動して動くアウターマッスルも自ずと鍛えられます。
腕や足の筋肉がしっかりついているのは、関節のインナーマッスル強化に付随した効果だと考えられます。
【関連記事】股関節の筋肉が固いと…?ストレッチと周辺筋肉の強化方法を紹介!
スタビライズトレーニングを取り入れている宇野選手の肉体の特徴
体幹トレーニングをメインにしている選手は、いわゆる細マッチョと呼ばれる体型が多く、スレンダーな体型に見合わない隆々とした腹筋や背筋が話題になります。
一方でスタビライズトレーニングを取り入れている宇野選手は、体全体に無駄のない筋肉がバランス良くついているといえるでしょう。
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宇野選手はヒールキックランニングで太ももを強化していた!
宇野選手はトレーニングメニューのひとつとしてランニングを取り入れています。一本歯下駄でのランニングも行っていますが、今回はヒールキックランニングをご紹介します。
モーションはレッグカールに類似しており、走りながらレッグカールを行っているような感覚です。
レッグカールと同様に、太ももの裏のハムストリングス強化を目的としています。
フィギュアスケートでは膝や股関節周りの筋力は必須であり、技と技の流れるような繋ぎや、ジャンプ後の着氷からのスムーズな滑り出しなど、演技をまとめ上げるのに必要不可欠な筋力だといえるでしょう。
ハムストリングスに効く!ヒールキックランニング方法
少し前傾姿勢でランニングを行います。その際、踵をお尻にぶつけるように足を巻き込みます。動画のようにその場で行っても、実際にランニングをしても構いません。
【ポイント】
走るというよりは跳ねるイメージで行います。
踵をお尻にぶつけるのではなく、ハムストリングスをコンパクトに縮めるような感覚です。
なぜ宇野選手はハムストリングスを鍛えるのか
あまり筋肉を鍛えすぎると見た目に影響する可能性がありますし、ハムストリングスのように広い筋肉であれば体が重くなるかもしれません。
それでも宇野選手がハムストリングスを鍛えるのはなぜなのでしょうか。
実はハムストリングスは鍛えても太くなりにくい筋肉なのです。多少太くなっても目立ちにくい場所についている筋肉だともいえます。
だからこそ宇野選手は、フィギュアスケートに必要不可欠なハムストリングスだけはあえて鍛えているのでしょう。
【関連記事】ハムストリングの筋トレまとめ!太もも筋肉を鍛える効果的トレーニングメニューの紹介!
身長が低い宇野選手が世界と戦える・勝てる要因
フィギュアスケートの強さに身長は関係ありません。一般的なスポーツは身長が高い方が有利に働く競技が少なくありませんが、フィギュアスケートに限れば身長は無関係です。
しかし外国人選手のスケーティングが華やかに見えるのは事実でしょう。長い手足を隅々まで活かした表現力という点では、身長が低い宇野選手は不利かもしれません。
こうした不利な状況を覆して表彰台常連となりつつある宇野選手。彼が世界の強豪選手に勝てる要因として次の3点が挙げられます。
- 重心の低さと体軸の安定性
- 関節の柔軟性
- 小さく見せない努力
それぞれ詳しく見てみましょう。
重心の低さと体軸の安定性
身長が低ければ低いほど、重心も低くなります。そのうえ体幹トレーニングによって体軸が安定しているため、バランスを崩しにくいといえます。
またキレのあるスピンも小型選手ならではです。
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関節の柔軟性
彼の代名詞であるクリムキンイーグルは関節の柔軟性が要求されます。またその他の演技においても体軸のブレを修正するためには足首や股関節の柔軟性は非常に重要だといえます。
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宇野選手はトレーナーの元でしっかりとストレッチを行い、怪我を防止するとともに柔軟性の強化にも努めています。
大技を決めた後もバランスを崩さず次の技に繋いでいくことができるのは、宇野選手の努力ゆえですね。
また下半身のみならず手首の柔軟性も高いのが宇野選手の特徴です。
決して手足は長くありませんが、手首の可動域が広いため、手の先指の先まで全てを使って表現力を向上させています。
小さく見せない努力
一本歯下駄を履くと姿勢が矯正され、頭の位置が高くなります。この姿勢を保つことができる宇野選手は、同じ身長の日本人よりも背が高く見えるはずです。
また過度のウエイトトレーニングをしないためプロポーションが崩れず、実際よりも手足を長く見せることができます。
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自分と向き合える宇野選手は強い!
多くのスポーツ選手が「体幹」を意識したトレーニングを取り入れています。
また最近ではスタビライズトレーニングも浸透しつつあり、「筋トレ」と呼ばれるトレーニングは良しとされない風潮にあります。
そんな中、宇野選手は体幹、スタビライズトレーニングともに取り入れていますが、筋トレ要素が強いヒールキックランニングも行っています。
宇野選手は自分自身としっかり向き合い、自身の弱さや敗因、足りないものが何なのかをとことん追求しているのでしょう。
その結果、流行に流されずにハムストリングスの強化もトレーニングメニューのひとつに組み込んでいるのです。
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どんなトレーニングを行う場合でも、目的意識を明確にすることが重要です。
宇野選手のように自身の体としっかり向き合い、有意義なトレーニングライフをお過ごしください。
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