このとき必要なのが体の軸、体幹です。四つん這いトレーニングはプランク以上の体幹が要求されます。つまりプランク以上に体幹が鍛えられるということです。
あえて左右にブレさせるクリーチャートレーニングも体幹に効果あり
クリーチャートレーニングはDeNAが取り入れた四つん這いトレーニングにモーションが似ています。しかし大きな違いが、お尻を左右に動かしながらの前進です。
お尻を動かせば重心が傾きます。そのまま倒れてしまわないように重心をリセットするのも「体幹」の為せる技。また左右に振ることで手首や肩などの関節が柔らかくなる効果もあります。
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メキシコ先住民の走りを真似た「ベアフットトレーニング」
筒香選手の体幹トレーニングは、グラウンドやトレーニングルームを飛び出しても続きます。なんと砂浜をトレーニングの場にしてしまうのです。
筒香選手が砂浜で行っていたのは「ベアフットランニング」をウォーキングに発展させたもの。世界で一番足が速いといわれるメキシコ先住民族「タラウマラ族」の走りにヒントを得たトレーニング方法です。
ベアフットランニング用のシューズが市販されていますが、ベーシックなベアフットランニングは裸足です。地面にガラスや鋭利な石などが落ちていない場所で行いましょう。
ベアフットランニング方法
- 裸足で立ち、その場で何度かジャンプをして体の力を抜きます。
- 重心を前側に傾けていくと自ずと足が前に出るはずです。そのまま走り出します。
- 常に重心を前においてランニングを続けます。
【ポイント】
足を前に出すのではなく重心を前に傾けることを意識します。
地面を蹴って前に進むのではなく、ひとりでに前に進んでいく感覚が掴めればOK。
体幹力が不足しているとベアフットはツライ
筒香選手はベアフット=裸足と同じ状態を作り出す自作のサンダルを履いて砂浜を歩いていました。走ってはいません。つまり筒香選手はランニングに重きを置いているわけではないのです。ではベアフットで何を得ようとしているのでしょうか。
人間は歩くとき・走るときは必ずといっていいほど踵から着地しますが、ベアフットで同じ着地をすると踵に痛みが生じます。そのためベアフット状態では、例えゆっくり歩いても重心が自ずと前に保たれるのです。
しかし踵から着地して重心を前後に移動させる歩き方が身についている場合、常に前重心を保つのは難しいといえます。
例えばつま先立ちで生活する姿を想像してください。つま先立ちでゆっくり歩く、満員電車に揺られる、プレゼンをする。多くの人がふらついてしまうことでしょう。ふらつかないためには体幹力を必要とします。
ベアフットは「ながらトレーニング」として取り入れられる
筒香選手は自作サンダルを履いて自主トレ期間を過ごしました。常に重心を前に置いて生活する中で、体幹力は更に向上したはずです。
ベアフットランニングはトレーニングのひとつとして時間を取ることになりますが、筒香選手のようなベアフットトレーニングは「ながらトレーニング」として日常生活の中に取り入れることが可能です。
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怪我防止にも役立つ体幹トレーニング「ブリッジ」
筒香選手が在籍していた少年野球チームが体幹トレーニングとして取り入れていたのが「ブリッジ」です。筒香選手は今なおこのトレーニングを継続しており、高校野球の強豪校でも体幹を鍛える方法として採用されています。
しかし幼少期の筒香選手は意外や意外、ブリッジを始めとした床運動に苦戦したようです。いわゆる「運動神経」だけでなく体幹力が必要とされることがよく分かります。
体の隅々まで使ったアングルドブリッジトレーニング方法
- 膝ぐらいの高さの台(ベッドやローテーブルなど)を用意し、腰掛けます。
- 足のスタンスは肩幅で踵を床につけます。
- 台に寝そべった状態で、肩甲骨下縁から上が台に乗るように足を使って位置を調整します。
- 腕を曲げて両肘を天井に向け、手のひらは指先を足側に向けて耳の横辺りに置きます。
- 腹筋と太ももに力を入れ、手のひらで台を押すようにして体を持ち上げ、3秒ほどキープします。
- ゆっくりと元の位置に戻し、1.〜5.を繰り返します。8回を1セットとし、徐々に回数を増やしていきます。
【ポイント】
手の位置や背中の位置は目安です。体を持ち上げにくい、関節に痛みが走るなどがあれば調整してください。
頭の動きで勢いをつけてしまうと首を損傷しますので、首には力を入れず体の動きに連動させましょう。呼吸を止めないことも重要です。
アングルドブリッジで鍛えられる体幹筋は?
このトレーニングで鍛えられるのは脊柱起立筋の上部です。下部は腹筋や腰部の筋トレでも鍛えられますが、アングルドブリッジでは脊柱起立筋の上部に重点を置くことができます。
姿勢保持や上体コントロールに欠かせない筋肉です。筒香選手はこれを鍛え続けることにより、どんな球種も体勢を崩さずミートできる体幹力を身につけているといえるでしょう。
スイングスピードの保持にも貢献するブリッジ
ホームランバッター筒香選手のスイングスピードは球界最速レベルかといえば、これも意外なことに突出したスピードというわけではありません。前述の通り、体の捻りと上下半身の連動、旋回スピードとぶれない体軸=体幹によって長打が生み出されているのです。
そしてもうひとつ、筒香選手を強打者たらしめるキーがあります。スイングスピードの保持力です。
通常のバッターはボールをミートした瞬間にスイングスピードが低下します。筋力がある選手はパワーによって解消しているのです。しかし筒香選手はミート前後でスイングスピードに変化がありません。
ブリッジによって脊柱起立筋上部を鍛えている筒香選手は、ミート時の衝撃にもぶれない肩周り、首周りを持っています。スイングスピードの保持力の高さはブリッジによる体幹トレーニングの賜物といえるでしょう。
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体幹トレーニングにプラスアルファで筒香選手に近づく!
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筒香選手は幼い頃から体幹トレーニングだけをこなしてきたわけではありません。「体幹トレーニング」という言葉が今ほど一般的ではなかった頃は、当たり前のようにウエイトトレーニングを重ねていました。
ですからプロのアスリートとして必要十分以上の筋力があります。その筋力を活かす上で体幹トレーニングが役立っているといえるでしょう。つまり筒香選手の強さの要因は筋力+体幹なのです。
筒香選手のようなホームランバッターを目指すなら、筒香選手が行っている体幹トレーニングをただただ真似るのではなく、まずは自身に不足している筋力を知ることから始めるといいでしょう。
腕力が弱いのであれば腕の筋力と連動する体幹トレーニングを、足であれば足と連動する体幹トレーニングを取り入れることで、過度なウエイトトレーニングをせずに少しずつ筋力+体幹を向上させていくことが可能になるのです。
野球人ならぜひチェックしておきたい筋トレ方法
筒香選手と同じくプロ野球界の牽引役である山田哲人選手は、体幹のみならずあらゆるウエイトトレーニングやポイントトレーニングを取り入れて総合的な体作りを行っています。
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